パープル・バタフライのレビュー・感想・評価
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日中の許されざる恋だったが…
満州で恋に落ちた2人が上海で再会したが敵対するようになったがそれでも愛し合う展開だったがラストシーンで日本人が打たれるという衝撃で言葉に出ませんでした…
映画のタイトルはテロ組織の名前。チャン・ツィイーがそこのスパイ。さ...
映画のタイトルはテロ組織の名前。チャン・ツィイーがそこのスパイ。さらっと見せて説明もなく1928年の満洲の方は淡々としている。1931年に上海で再会、その時には仲村トオルも日本軍のスパイになって昔の恋人同士で戦うことになってしまうみたいな流れ。全体的にセリフ少なめ、映像でみせていくタイプ。仲村トオルは凄い良かった。
南京虐殺
1928年の映像。2人の恋愛部分は少なく、シンシア(ツィイー)の兄が抗日組織の印刷所で排日ビラを印刷していた、などの当時の情勢をうかがい知る程度のもの。伊丹が日本へ帰ってから、彼女の兄も日本人の右翼テロの犠牲となる・・・
あっという間に1931年の上海。日本が中国を侵略したという号外がばら撒かれている中、一組のカップルが、セリフも少なく、叙情的に描かれ、序盤のドラマとどうつながっているのかさっぱりわからないドラマが展開。その男スードゥーは組織の人間と間違われ、女は混乱の中で犠牲となるのだ。
伊丹は上海で軍の諜報機関に入り、パープル・バタフライはティン・ホエを彼と接触させる。そして愛がもつれる相互スパイ合戦。そこへよくわからないスードゥが絡んでくる・・・これがわかんない原因だ!伊丹の上司である山本暗殺がメインではあるけど、その他の部分がわからないまま進み、シンシアが組織のシエ・ミンと出来ていたという、ある意味どんでん返しのような終盤。暗いミステリーを全面に押し出したためか、心理描写がどの登場人物もよくない。結局は日本人への愛よりも中国人への愛が勝ったというところなのか・・・
最後に1937年上海における日本軍の空爆、そして南京虐殺のドキュメント映像が流れるけど、どうせならこれを中心としたドラマにすればよかったのに・・・
映画としての存在感に溢れた映像
降り続く雨、窓越しのちょっと歪んだような人物、極端に被写界深度の狭いピントの定まらいクローズアップ、定まらない揺れ動く構図、不自然なくらいに削ぎ落とされたセリフ、映画としての存在感に溢れかえっている。1928年満州、1931年上海の抗日運動に揺れ動く街が活き活きと捉えられている。チャン・ツィイー、仲村トオルが出いて、ロウ・イエは商業映画を初期には撮っていたのかと誤解していたら、とてつもなく監督独自の映像世界が展開されていた。
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