十二人の怒れる男のレビュー・感想・評価
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いま見ても十二分に面白い
名作だと言われていてこれは見なければと思いながらも録画したまま放置していたがいざ見てみるとグイグイ引き込まれた。
wikiにも書いているが派手な映像なんか無くとも面白い作品はできるのだとつくづく思わせられる。
Blu-rayの高精細な総天然色の映像の場合はこうした閉鎖空間を舞台にした作品は画面映えしないが白黒映画だとかえって映像が引き立つ
普通閉鎖空間で十二人も登場人物がいたらごちゃごちゃしがちだと思うが、この作品ではそれぞれの個性を出しながらもひとりひとりの発言をクローズアップしていくことでそうした問題を解決している。
名作は色褪せないと本当に思わせられる作品。
陪審員だけでなく、直接出てこない弁護士の問題
総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 85
ビジュアル: 65
音楽: 65
1つの部屋の中でおきているわずかな時間のことが、立派な映画として成り立った。裁判ものにはずれなし、の格言に当てはまる1つ。
この中で陪審員が有罪か無罪かを決めるのだが、陪審員の先入観、差別、判断力などが問題になる。
それはもうさんざん議論されているのでここでは置いておいて、私が引っかかったのは映画では直接出てこなかった裁判そのもの。弁護士はろくな弁護をしていないのが陪審員の話からわかる。黒人のチンピラの事件などいちいちまともに裁判などしなかったのだろう。結局フォンダは少年の弁護士役を陪審員室の中で証拠も現地調査もなく推理だけで勤め上げたことになる。そしてそれはその程度でも有罪でないと明らかに出来るほどの、実は何でもないくだらない内容の裁判であった。弁護士が最初から調査をして真面目に弁護をしていれば問題にすらなってなかった可能性もある。
先入観、差別、判断力などの陪審員たちが映画の中で話した問題は、本来は駄目弁護士が裁判で明らかにすべき問題でもあった。その代わりにフォンダが陪審員室で弁護士役をこなした。映画の中の陪審員たちの会話の中でもあったように、先入観や人種差別が本来機能すべきはずの制度をしっかりと機能させず、司法の問題点ばかりでなく人々の中にも潜む問題点を明らかにしている。この時代の裁判などこのようにいいかげんなものだったのだろう。
裁判員裁判。これを教科書に
今、改めて日本人が観るべき名作
日本でも来年2009年の5月までに開始予定となっていよいよ現実味を帯びてきた陪審員制度。
と思っていたら、日本で導入されるのは陪審員制度ではなくて裁判員制度だとか。
「陪審員制度と裁判員制度って何が違うんだろ?」と思って調べてみたところ、
“陪審員は有罪か無罪かまでしか判断しない”のに対して、
“裁判員はその量刑(懲役○○年とか)までの判断に踏み込む”
のだそうです。
へぇ~。一つ勉強になりました。
※他サイトより転載(投稿日:2008/03/20)
恥ずかしながらこれも今まで知らなかったんですが、日本では昭和初期にも一度導入されていたそうですね。
こんな風に映画をきっかけに色々と勉強するきっかけになるのはありがたいコトです。感謝感謝。
で、本作。
実は先に三谷幸喜の「12人の優しい日本人」の方を観ていて、そこからこちらに辿り着いた経緯があったのですが
さすがは本家。文句なしにおもしろかったです。
舞台の芝居を観ているかのように、場面のほとんどが一室のみで繰り広げられる陪審員同士の白熱した討論。
三谷版を観たときは「古畑任三朗」や「ラジオの時間」などでお得意のシチュエーションコメディ(?)かと思いましたが
50年以上前のモノクロ画面の時代からこんなに凄い本家があったんですね。法廷劇の代名詞というのも納得です。
多くの人と対等の立場で本気で意見を闘わせ、1つ1つ問題点を洗い出していく姿はまさに痛快。
移り変わりのない単調な画面の中でも次から次へと新たな展開が用意されていて
最初から最後まで食い入るように見入ってしまいました。
そして同時に改めて思い知った「陪審員制度」の怖い一面。
見ず知らずの人の人生がこの密室に集まった人数が決めてしまうという恐ろしさ。
一人の思い込みや勘違い、個人的な趣味趣向、差別、こだわり…そして悪意。
絶対にないとも言い切れないだけに恐ろしいです。
「それでも僕はやってない」を観て色々感じた人も多いと思いますが
こちらの作品も、今この時期だからこそ日本人が観ておくべき名作だと思います。
それと、
本作を観て、改めて「12人の優しい日本人」の良さが実感できました。
この社会派の作品をモチーフにして、柔かいテイストで見事に仕上げられているエンターテイメント作。
こちらもおすすめです。
※他サイトより転載(投稿日:2008/03/20)
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