アワーミュージックのレビュー・感想・評価
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天国編は怠慢で傲慢な受け手へのご褒美
菊池成孔が「ゴダール作品なのに通常の劇映画と同じ規範において面白い」みたいなことを言って本作を褒めそやしていたのでそれなら俺も…と見てみた次第だが、結局いつものゴダールじゃねえかよというのが正直な感想。何度寝落ちかけたかわからない。
映画が運動ではなく言葉によって占拠されていくことへの反感と、それでも言葉がなければ映画は先に進んでいかない、そういう複雑な時代に差しかかりつつあるという諦観。映画という芸術あるいはメディアに対するゴダールのアンビバレンツな感情が、運動だらけの地獄編と、言葉だらけの煉獄編の対比の中に語られている。
ただ、そういう構造的なアレコレはなんとなく理解できるものの、劇映画として面白いかと言われると首肯しかねる。初期ゴダールに散見された、思わずハッとさせられるような官能的なカットも少ない。というかそういうカットはラスト数分の天国編に小さくまとめて格納されていた。これのために俺は80分を耐えてきたんだなと思った。怠慢で傲慢な受け手へのささやかなご褒美だ。
御大すいません。解らないですm(__)m
御大ゴタールの新作です。
ヌーベルバーグの旗手として映画の文法を壊しながらも天才の才能を遺憾なく発揮して来たが、近年の御大の作品はもはや本人にさえ理解できないんじゃないか?とさえ思え…。
さて素晴らしい予告篇に惹かれて観たのだが!すいません御大やっぱり分かりません(x_x;)
冒頭で‘人類の歴史は殺戮の歴史だ’と言わんばかりに記録映画と劇映画を混ぜ合わせた映像を流した後で本篇に入る。
ユダヤ系女性ジャーナリストがサラエボ内戦の悲劇を取材し、やがて講演の為にやって来た御大自らにその記録を渡すのだが…。
有名な詩人や作家が実名で登場しているらしいのだけど、正直なところだからどうなのかよく分からず(;¬_¬)セリフ等はいつもの様に様々な【詩】から引用されているのでしょうがはっきり言ってよく分からない。
相変わらず映像はとても美しかったので退屈しないで済んだけれども、ラストのエピローグは御大にしてついに癒しを求める年になったのか?と思ってしまった。
俺みたいなのに採点されるのは心外かもしれないが御大許して頂戴ね(笑)
それにしても難解な程世界中のフアンから喜ばれるって…本人は一体どう思っているんでしょう!
難しいです
ジャン・リュック・ゴダールの現時点での最新作です。この人の映画ははっきりいって理解しようとすることがいつも不毛に思えてくるほど、独特の作風があります。それでも初期の頃の作品には理解できなくても、セリフ一つ一つにハッとさせられたり、作品全体を通じてなにか快感を覚えるパッションが流れていて、それはそれで好きだった。
今作は、一つの国家として完全消滅したユーゴスラビアの首都セルビアでの悲劇やら、そこに流れる民即感情の怨恨やらなにやらがテーマになっています。構成はダンテの「神曲」を意識したものになってて、ゴダールの編集はもはや神秘的です。
それでも、そういった題材にうとかったわたくしには、とにかく上映が終わるまで「?」でした。そういった歴史上の悲劇にアンテナを巡らせてくれた事では、観てよかった映画です。それでも本作で思ったのは、ゴダールもまたグローバリズムと闘っており、民族性に回帰するというのが一つのテーマのようであること。また、今作は題名にも示唆されているとおり、わたしたち全員の心に流れる「旋律」が作品の肝らしく、なかなか魅力的です。
でも、やっぱり難しかった。
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