「難しいです」アワーミュージック あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
難しいです
ジャン・リュック・ゴダールの現時点での最新作です。この人の映画ははっきりいって理解しようとすることがいつも不毛に思えてくるほど、独特の作風があります。それでも初期の頃の作品には理解できなくても、セリフ一つ一つにハッとさせられたり、作品全体を通じてなにか快感を覚えるパッションが流れていて、それはそれで好きだった。
今作は、一つの国家として完全消滅したユーゴスラビアの首都セルビアでの悲劇やら、そこに流れる民即感情の怨恨やらなにやらがテーマになっています。構成はダンテの「神曲」を意識したものになってて、ゴダールの編集はもはや神秘的です。
それでも、そういった題材にうとかったわたくしには、とにかく上映が終わるまで「?」でした。そういった歴史上の悲劇にアンテナを巡らせてくれた事では、観てよかった映画です。それでも本作で思ったのは、ゴダールもまたグローバリズムと闘っており、民族性に回帰するというのが一つのテーマのようであること。また、今作は題名にも示唆されているとおり、わたしたち全員の心に流れる「旋律」が作品の肝らしく、なかなか魅力的です。
でも、やっぱり難しかった。
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