「【”俺たちに明日はない、若きテレンス・マリックバージョン。”特に意味もなく虚無的に生き、人殺しを続ける青年と、彼にボンヤリとついて行く少女の姿を、牧歌的な雰囲気の漂う中、描いた作品。】」バッドランズ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”俺たちに明日はない、若きテレンス・マリックバージョン。”特に意味もなく虚無的に生き、人殺しを続ける青年と、彼にボンヤリとついて行く少女の姿を、牧歌的な雰囲気の漂う中、描いた作品。】
■1959年、サウスダコタ州の閉塞感溢れる小さな町。
15才のホリー(シシー・スペイセク)は、ある日、ゴミ収集作業員の青年キット(マーティン・シーン)と出会い、恋に落ちる。
が、交際を許さないホリーの父(ウォーレン・オーツ)をキットが射殺した日から、ふたりの逃避行が始まった。ツリーハウスで気ままに暮らし、金が無くなれば大邸宅に押し入り、銃を撃ち話し、次々と人を殺していくキットの姿を、ホリーはボンヤリと見つめていた。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ハッキリ言って、トンデモナイ話なのだが、作品全体に漂う牧歌的な雰囲気が不思議な作品である。
ホリーは、キットが凄い好きというわけではないが、彼がジェームス・ディーンに似ているという理由で惹かれて行くのである。
そういわれると、マーティン・シーンの端正な顔つきが、ジェームス・ディーンに被・・らない・・。けれども、この作品の魅力は矢張りマーティン・シーンと、そばかすだらけのシシー・スペイセクに尽きる気がする。
・キットは次々に人を銃で殺害していくが、そこには悲壮感はない。まるで彼が首になった清掃員がゴミを清掃車にポイポイ入れるように、殺して行く。
ホリーも、父親が射殺されても取り乱す様子はない。
・追いかける警察側も、何だかノンビリしている。懸賞金を掛けたりするが、3人の懸賞金ハンターは、アッサリとキットに射殺される。
因みに、キットは後ろからでも、何の躊躇もせずに撃つのである。
<キットが、警察に捕まる時も、アッサリしている。そして、相変わらずホリーは手錠を嵌められても、涙を見せずにボンヤリと立っている。
キットは、電気椅子で処刑された事が告げられるのみである。
今作は何だか、”バッドランズ”というよりは、”バッドドリームランズ”とでも名付けたくなるような、牧歌的な雰囲気が不思議な作品である。>
<2025年3月23日 刈谷日劇にて観賞>