劇場公開日 2004年10月9日

「チェ・ゲバラの青春ロードムービー」モーターサイクル・ダイアリーズ Gustav (グスタフ)さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0チェ・ゲバラの青春ロードムービー

2020年5月2日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

ブエノスアイレスからカラカスまで1万キロ以上にも及ぶ旅を通して、青年チェ・ゲバラの成長と自己確立の過程を南米の大自然を背景に描破したロードムービー。共産主義の思想面には深入りせず、あくまで医師を目指したチェ・ゲバラの人に役立つ仕事を使命とする人生観に裏打ちされた純粋さに焦点を当てているのが良い。特にサンパブロの療養所でのエピソードが素晴らしい。貧困による差別と理想主義の狭間で苦悩するチェ・ゲバラの言動をデリケート且つ丁寧に描写している。一つの教養小説の領域にあるといっていい真摯さは、制作者レッドフォードと主演ベルナルの個性に負うところが大きいと思う。サレス監督の詩的な映像タッチにも快い印象を持つ。

Gustav