劇場公開日 2006年11月25日

「アメリカで拉致問題を認知させた功績は評価できるかもしれない」めぐみ 引き裂かれた家族の30年 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0アメリカで拉致問題を認知させた功績は評価できるかもしれない

2020年11月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 ハンセン病訴訟と並んで小泉元総理の最大の成果である首相初訪朝(その他はたいしたことない)。そして拉致被害者5名が帰国できたニュースは本当に感涙したものだ。映画は横田夫妻を中心としたドキュメンタリーであり、横田めぐみさんの『流浪の民』の肉声を聞くと涙がこぼれ落ちました。しかし、拉致問題ニュースに関してテレビにかじりついた日本人にとっては目新しいこともないので、拉致の歴史を再確認したにとどまるのかも・・・

 ドキュメンタリー映画としては切り口もいいし、フィルムの切り貼りも緊張感があるものに仕上がっていた。残念なのは、政治色を排したかったと述べているにも拘らず、増元照明氏の描写をかなり取り入れたことだろう。彼が登場するだけで政治色が強まってしまう。また、アン・ミョンジン氏の発言内容もどこまで真実であるかわからないのだし、実際に拉致された蓮池薫さんや曽我ひとみさんの意見もないままだ。さらにもっと多くの被害者家族を映し出したほうがよかったのではないかとも思えます。

 北朝鮮の汚いやり口は許せないものだし、日本人が受けた屈辱はしっかり胸に刻んでおかねばならぬこと。ただ、問題のすり替えだけはよくない。これをネタに軍備増強なんてもってのほかだし、核問題が起こったからといって先制攻撃論にまで発展させるべきではないはずだ。

【2007年2月映画館にて】

kossy