「新宿の記録フィルム」新宿泥棒日記 naokiさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5新宿の記録フィルム

2025年1月12日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

知的

難しい

長らく私の中で幻の映画が日の目を見た。
その1本がイエジー・スコリモフスキ監督「早春(DEEP END)」で近年リマスター公開されました。当時、日本でも大人気だったアイドル・ジョン・モルダー=ブラウンを主演にポール・マッカートニーとつきあっていたジェーン・アッシャーを相手にしたティーンエイジャー映画かと思いきや無茶苦茶変な映画でしたが結構好きな映画です。
そしてもう1本が大島渚「新宿泥棒日記」これは観るまで、どんな内容か想像できずに今回の35mm限定上映で観る事ができました。かつてベルナルド・ベルトルッチ監督は自身の「パートナー」と「新宿泥棒日記」は時代に判を押された古臭さがあると評しました。
私は今回「新宿泥棒日記」を観た感想は古臭さは、それ程感じませんでした。主演の横尾忠則さんや唐十郎にしても今の若者にもいそうな感じで親近感が持てました。紀伊國屋書店が主な舞台で実在のお店を舞台に演技の素人を主演にしてベテランをワキに配するラディカル性は大島渚監督にしかできないですね。この映画は白黒映画なのですが、ときたまパートカラーになったりします。(スピルバーグ監督の「シンドラーのリスト」や黒澤明の「天国と地獄」でも使われたアレ)そのパートカラーの使い方が物語上必要かと思えばそうでもないんですけどねぇ・・・。しかし今回フィルムで観た唐十郎の着てた着物の柄やマネキンに塗る紅色がなんとも生々しい〜
今回の上映会は私の中で記念碑的な場でした。
もし◯-nextで観てたら、あ〜つまんないで途中で観るのをやめてました。
過去の作品をリマスターでなくオリジナル35mmフィルムで観れたのは貴重な体験でした。

naoki