ルイーズに訪れた恋は… : 映画評論・批評
2006年9月12日更新
2006年9月9日より銀座テアトルシネマにてロードショー
まさに“ローラ・リニー・ショー”
まさに“ローラ・リニー・ショー”。おそろしく知的に、39歳・独身・バツイチ・ニューヨーカーの女性ルイーズを演じている。
タイトルが示すように、彼女に恋が訪れ、20代の年下の若い坊やが相手になる(「トラフィック」のトファー・グレースが好演)。彼女は名門コロンビア大学芸術学部入学選考部部長という肩書を“利用”し、面接に来た男をその夜自宅に招き入れ、男のズボンをはぎ取り、勝負服のすそをまくし上げて上に乗る! 昔の彼に似た面差しと同じF・スコットというファーストネームに惹かれたのだ。長年のセックスレスを凝縮させた荒々しさがある恋のはじまりだが、けっして色情狂ではない。「Sex and The City」のサラ・ジェシカ・パーカーと違ってストレートなブロンドの髪で、翡翠色の瞳をしたローラ・リニーにはノーブルな美しさがあり、どこか初々しい。
主人公の語りやフラッシュバックを使わず、現在という時間軸にこだわったディラン・キッド監督の演出には好感がもてるが、心動かされるギミックが少なく、せっかくのマンハッタンがロマンティックな“恋の舞台”になりえていない。「ミスティック・リバー」の立場を逆転させたようにコミックリリーフとしてマーシャ・ゲイ・ハーデンが出演しているが毒気も足りず、全体的にもどかしさでいっぱいだ。
(サトウムツオ)