「トータルの空気感で観る映画」ロスト・イン・トランスレーション live_at_luxorさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0トータルの空気感で観る映画

2009年10月23日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「ロスト・イン・トランスレーション」

直訳すると“翻訳漏れ”でしょうか?

言葉の通じない日本の地を訪れたアメリカ人たちが感じる孤独感や疎外感を描きつつ
正しい相互理解の難しさを繊細なタッチで描いた作品です。

お決まりの海外から見た間違った日本の描写が満載と噂で聞いてましたが
観終わった感想としては思ったより全然ちゃんとしてました。

題名は分かりませんが、だいぶ昔にTVで観たショーン・コネリー主演のハリウッド映画で
とにかく日本の描写がとんでもないのがあって、子供心に腹が立ったのをよく覚えていますが、
あの当時と比べれば日本のイメージも少しは正しく伝わってきてますね。

まぁ相変わらずな部分もまだまだ多く、特に鼻につくシーンも2,3見受けられますが…
海外から見た日本はきっとああなんでしょう。悲しいですが。

この作品を観るに当たって、ある意味で残念なのは自分が日本人だということ。

この作品。劇中に多く出てくる日本語にあえて字幕を付けずに“分からない言葉”として描いています。
またゲームセンターやパチンコ、カラオケ、TVの深夜番組、ネオン看板の街並みなどなど
海外から見たら変わって見えるであろう独特の文化の描写も多用しており、
それが全て理解できてしまう日本人には製作者の意図した空気が一番伝わりにくい。
意識して客観的に観ないとただの誇張された日本にしか映らないかも知れません。

ストーリー展開ものっぺりと平坦に進んで行くので空気感がダメな人はダメだと思います。

それでも色々ひっくるめて日本人としての見方をしてみるのも面白い。

“マシュー南”とか“ミニスカポリス”とかの日本人が観てもバカなTV番組。
変な通訳、マッサージのおばさん、CMプロデューサーなどなどアクの強い登場人物。
チョイ役出演のNIGO、藤原ヒロシなどなど…

海外の人には全く分からない突っ込みポイントも満載です。

個人的には好きな部類ではないですが、東京や京都の風景は綺麗に撮ってましたし
静かにゆったり流れる時間とか、この監督が好きな人はハマリそうですね。

※他サイトより転載(投稿日:2008/03/21)

live_at_luxor