「監督の日本に対する驚きと興味を感じた」ロスト・イン・トランスレーション Chisaさんの映画レビュー(感想・評価)
監督の日本に対する驚きと興味を感じた
薄々わかってはいたけど、アメリカ人に日本はこういう国として写っているのか...ってちょっと愕然とちゃうよね。こんなダサいですか?こんな変ですか?っていう。日本人通訳やカメラマンの拙過ぎる英語とか、藤井隆のワケのわからないテンションとか、しゃぶしゃぶ屋の無愛想な定員とか、なんか心地いいものじゃなかった。そこまでじゃないでしょ。誇張が過ぎるよー。
私は日本が大好きで大好きで堪らないって人間じゃないけど、それでも自分が住んでる文化が異質なものとして堂々と扱われるのはけっこう不快。まぁ、日本人が変であればあるほどロブとシャーロットの融け込めなさが浮き彫りになるし、それでこそのドラマチックな展開だったんだろうけどさ!いいさいいさ!
でも一言で「日本」とか「日本人」って言っても、ほんとにいろんな要素があってさ。
眩しい賑やかさの奥に埋もれている都会の寂寞。
同年代の人間がとてつもなく小さくて下卑た存在に映る瞬間。
同じものでも誰と見るかで増減する感動。
全く異質なものも受け入れられる、若者特有の優しいだらしなさ。
ひらりひらりと身を翻すように躍る、大人特有のウィットに富んだ会話。
そういう細かい要素が一つ一つ丁寧に描かれていたから、観終わって嫌悪感ばかりが残ったわけでもなかった。まぁ変なら変でいんじゃね、別に、っていう、半ば開き直り的な地点に不時着。
日本人inアメリカでも、パキスタン人in韓国でも、バチカン市国人inミャンマーでも火星人in地球でも、まったく同じストーリーの映画が作れただろうなー。でも、これだけ多種多様な日本人を隅々まで捉えるって、相当こだわらないとできない。日本に来たときかなりの衝撃を受けて、たくさん調べたんだろうなぁ。そういう点でやっぱりソフィア・コッポラ監督はすごいと思う。やりおる。