ローレライのレビュー・感想・評価
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原作の圧倒的な素晴らしさを半分も生かせていない
原作は私のこれまでの読書歴でマイベストワンと言える程の名作中の名作ですが、本作(映画版)は、そのストーリーを何とか2時間超の尺に収めるために無理やり感が半端ない仕上がりとなっています。
原作の福井晴敏著「終戦のローレライ」は多くの人にお勧めしたい大傑作ですが、映画を先に見てしまうと読む気が失せる人が多数かと思います。
かといって、原作をまずは読めと言っても、福井氏の本は文章が少々くどいのが欠点であり、終戦のローレライにおいてもそのくどさから序盤を読み進めるのは難儀でしょうから、私が勧めるのはこの話の下地(現代版)と言える「亡国のイージス」の小説からです。
この話は衝撃的な描写で幕を開けますが、私も亡国のイージスのショッキングな書き出しにはまって福井文学の魅力に取りつかれた一人です。
原作の良さである程度は魅せてくれる映画にはなっていますが、やや中途半端です。
ううう~ん、どんなものでしょうか。
いわゆる「人間兵器」の是非を描きたかったのかも知れませんけれども。
そのことは絹見少佐に対する浅倉大佐の「人間兵器に反対する君も、やがては人間兵器に頼らざるを得なくなる」といった趣旨のセリフからも窺うことができます。
しかも、絹見少佐が向き合うこととなった人間兵器は、彼の特攻兵器として名高い回天のように、軍人が搭乗するものてはなく、軍歴もない少女が、その超能力に基づいて操るものであったとすれば―。
そして、映画のシナリオとしては、同じく「人間兵器」であっても、その点の意外性(?)を強調したかったのかも知れませんけれども。
しかし、そうであったとしてもと、「潜水艦に少女」では、現実味を欠きすぎて、なかなかアタマが付いていくのが大変でした。評論子は。
残念ながら、高い評価の一本ではありませんでした。
非常に狭いある意味で良作
アマゾン・プライムで再鑑賞。原作のことは知りません。
こちら確かに封切り当時お金払って劇場で見たはずですが、なぜか0.5シーンくらいしか覚えていない。批評も悪いので、あまりの酷い出来に観た記憶の「抑圧」が起きたのかと正直また観るのが怖かったですが、結末まで頑張りました。
感想としては、事前に他の賛否のレビュー等を読んで「心構え武装」したこともあり、思ったほど酷くありませんでした。それは
「本作はWWII舞台の戦争映画などではなく、異世界日本の架空ファンタジー戦記」
「”宇宙戦艦ヤマト”ならぬ“海中戦艦ローレライ”」
「批判的視点を持たずカッコよい筋・場面のみ追え!」
ということです。
そう思って観れば、主要キャストの大げさな熱演にも、ヒーロー・ヒロインの古代進・森雪的な役どころも、また一方で官名呼称や操艦表現が妙に史実・軍事的なのに時系列や社会政治視点(まぁ本来ココこそしっかり描くべきですが‥)がグダグダというかいーかげんな脚本にも大した矛盾を感じず、ミリタリ調SFアニメ的なお話しとして楽しめます。
その上で好印象は‥
・役所公司(カッコイイし、映画の趣向と自分の役どころよく分かってそう)
・石黒賢(色々矛盾したヘンな役だけど目力で頑張った)
・國村隼、小野武彦(マンガキャラみたいな役を熱演)
・堤真一(なんだろう、この人こんな“日本しね”みたいな役ばかり。隠れた嶋田久作の後継者か?)
・香椎由宇(凄いキレイ。台詞はもっと少ない方が良かった)その他の役者さんも貶すものではありませんが…まあいいや。
・明暗撮影、セリフ音声、シーン展開テンポ(この三つは、シロウト洋画好きの私がほば毎回偉そうに邦画に文句を言うところですが、今回はあまり悪目立ちを感じませんでした。素晴らしいと思います。
・ロタ島(米軍上陸戦の無かった稀有な日本軍拠点)避難
まあまあ‥
・CG、戦闘シーン(総じてチープですが、上述のようにSFアニメ・架空戦争と思えば大丈夫。ちょっと舞台群像劇っぽい日本兵の動きも、対する米軍の皆さんの緊張感ある手慣れた戦闘シーン演技に大いに助けられてます)。
それでも気になったところ‥
・原作や細かい経緯は知りませんが、映画冒頭から「3年前(→1942年)に特攻に反対して一線から退いた」と言われたら、それはあり得ないだろとは思いますよね。それを感じてしまうと、皆の指摘する原子爆弾呼びやその他の甘い又は蛇足な台詞やシーンも気になってしまいます。
・佐藤隆太の役、シーン(無意味、不要)
・柳葉敏郎の役(得意の目力と全身演技で頑張りましたが、過剰)
・妻夫木聡、とその役どころ(コスモタイガー隊の存在しない古代進な役。居なくても支障ない)
あとこれに、意図不明で意志薄弱な反乱グループとか、東京原爆の目的(米政府がローレライ程度で確約するとはどうしても思えない一方、反乱側に意図があるなら国体消滅←皇室せん滅、以外あり得ない。が半端にヘタレて?劇中一言の言及も示唆もない)など言い出したらキリがないのですが、同時代〜最近までの他の多くの「日本壊滅・転覆するぞ映画」(その多くで堤真一暗躍)の中ではマシな方かと思います。
そして、更に幾つものアラやヌケを敢えて見過ごして辿り着く結末〜〜〜ファンタジーですね!
もし戦場リアルであれば、
おふたり‥ フツーに遭難して艇内でミイラ、良くて米軍捕虜となって秘密研究所送り(回天+α程度性能の潜航艇では敵地テニアン以外目指せる陸地がない、分離すること自体が死刑宣告)
皆さん‥ テニアン基地防護及びB-29直掩のP-51辺りに浮上直前からボコボコに撃たれて乾坤一擲の20サンチ砲を撃つ暇もなく大破、取り囲んだ米艦から飽和砲撃を受けて白旗揚げる間も与えられず撃沈(敵潜水艦が戦闘中急浮上して重要任務の友軍機を砲撃撃墜したのですから、直後に投降されても受け容れる理由がない)
でしょうか。まあ観ている私は失望なんかしません、すでに達観していますので大丈夫です。
でも… 同じ娯楽戦争映画でも、私の好きなプラトーンや西部戦線異常なし、怖い戦争のはらわた、楽しめるMASHやグッドモーニング・ベトナム、リアルなブラックホーク・ダウンやグリーン・ゾーン、ファンタジーなバトルシップ、完璧な娯楽映画トップガン・マーベリック、そして米監督による日本戦争映画・硫黄島からの手紙…
そんな数々のアメリカンでグレイトな映画と比べて、本作のような日本の戦争映画には、結局何もしっかりした信念、理念や史実的物語作りへの怜悧さが見えないんですね。そこはやっぱり残念。キレイな歌声とか聞かされても、なんの救いにもならない。
稀にみる駄作でした
公開時、ワイドショーの本作紹介コーナーで役所広司が、スタジオ合成ばかりであまり良くないというようなコメントだったので(TVでわざわざ言うか。観ないでおこう…)と決めたはずなのに暇つぶしに見てしまった。冒頭のテロップがエヴァフォントで「やったぞ!エヴァっぽい!」と樋口監督の無邪気に喜ぶ顔が見えて嫌な予感がすると思いましたが、もう少し観てみるかと。明るすぎ、ブレのない、ツルツルの潜水艦CGのアラや人物合成のなじみの悪さは技術レベルの話として、肝であるストーリーテリングの稚拙さが際立っています。作りたい、かつ完成度の低い場面ばかりをバンバンインサートし続けた、けれんみのない映画史上最低の潜水艦映画が出来上がってしまいました。隣で見ていた映画ファンの妻が「あたしの時間を返せ」とマジギレしていました。映画心のある本作製作スタッフも同様な気持ちだったかと察します。悲しみです。
途中まで、実は折笠(妻夫木)の兄がドイツにてパウラ(香椎由宇)の姉と恋人同士だった!と妄想していたのに・・・よく考えたら、それはヤマトだ・・・
2005年3月10日、東京大空襲の日に観に行きました。
日本映画での潜水艦ものは50年くらい作られていなかったらしい。そう考えれば、まずまずの出来だったのだろうけど、前日に何を勘違いしたのか『K-19』を観てしまったし、ちょっと前に『U・ボート』も観てしまったのです。欧米の潜水艦ものと比較すること自体間違っているのかもしれないけど、閉塞感、リアリティが圧倒的に足りない!臭いが無いんですよね。しかもカメラワークがどことなく不自然で、臨場感が感じられませんでした。
アニメ・クリエーターの方が大勢協力していることが示しているように、アニメを実写化した戦争ファンタジーといった雰囲気でしたが、ローレライ・システムにも違和感なく観ることが出来たし、「東京の家族や友人たちを見殺しにはできない」という台詞に感動もいたしました。だけど物語が進むにつれ、睡魔に襲われて・・・感動も半減。急浮上するローレライのCGが『リーグ・オブ・レジェンド』に似てるなぁ・・・などと考えながら。
反戦映画かどうかを考えてみたけど、そういうことを論ずる映画ではなかったようですね。ただ、愛国心という言葉の定義とか、特攻隊に対する嫌悪感が感じられて、生への執着や未来のために大人が何をすべきかという重要テーマに救われた思いです。艦長の最期の台詞はくさかったですけどね・・・
【2005年3月映画館にて】
別作のローレライ…?
公開された2005年は終戦60年で、戦争を題材もしくは意識した作品が多く公開。
その内3本が、福井晴敏原作作品。
本作は“2005年福井軍事アクション祭り第1弾”!…とでも言うべきか。
第二次大戦下の1945年。
広島に原爆を落とされ、窮地に陥った日本は、国家存亡を懸けた奇襲作戦に出る。
ドイツから極秘入手した潜水艦“伊五〇七”に乗って、海軍の絹見少佐以下寄せ集めのクルーたちが出撃する…!
邦画には珍しい潜水艦アクション。
細かい事や小難しい事は抜きで、とにかくアップテンポ。
開幕して早々と任務へ。海へ。
米海軍とも一戦交える。
この時“伊五〇七”は驚異的なシステムが備わっている事が分かる。
それが、“ローレライ”。
敵の位置/形が正確に把握する事が出来る。
現代みたいにレーダーやコンピューターが発達していない時代にどうやって…?
実はこの“ローレライ”、一人の少女を媒介した人間兵器であった…!
本格的な潜水艦映画かと思いきや、突然のSFチックに。
この奇襲作戦の本当の目的。大本営/艦内でクーデター。
苦難を乗り越え、深まる寄せ集めのクルーたちの絆。
その中で、仲間や艦の為に犠牲も…。
一兵と少女の仄かなロマンス。
敵国にとっては“魔女”と呼ばれた少女。
が、クルーたちにとっては少女の歌声や存在はほんのひと時でも癒しに。
平成ガメラシリーズなどの特撮演出で高い評価を得た樋口真嗣の監督デビュー作。
最高のエンタメを作ろう!…と、たっぷりの要素を詰め込んで、詰め込み過ぎたようだ。
“ローレライ”や米海軍とのバトルだけでも巧みに詰めれば上々であったのに、クーデターまでは欲張り過ぎ。もっと話に深く関わるかと思ったら、中盤だけで呆気なく終わったし…。
特撮演出で鳴らしてきた樋口監督だが、本作のCGはちと粗い。
役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、佐藤隆太、堤真一…主役級のキャストによるアンサンブルは見ものだが、ちとオーバー演技。
『シン・ゴジラ』の演出で絶賛された樋口監督だが…、でもあれはやはり庵野監督のリアリティーの手腕であって、それまで樋口監督単独の演出は何と言うか…、
言うなれば、演出も演技も展開も作風もヴィジュアルも、アニメ風戦争潜水艦アクション。
つまらなくはない。
つまらなくはないんだけど…、
昔劇場で観た時はもっと面白かった筈だった。
なのに、今回久々に見たら途中「…」と感じたり。
記憶違い…?
それとも昔、別の作品見たのかなぁ…?
何だこりゃ、ストレートにつまらん
エヴァ、アキラ、仮面ライダー。そしてヤマト。
艦長!
冒頭の、一人も死なせん!にいきなり泣けた…役所さんのこういう役見ると、山本五十六にしか見えないんだけども。
柳葉さんとか、堤さんとか、役者勢は凄い。佐藤隆太は 今思うと、この役にはもったいなかったのでは…?
ストーリーはちょっとSFじみてて、戦争モノとはまたちょっと違うような?頼りの兵器は女の子。戦場で一緒に戦う少女が出てくるなんてまずない。従来型のソナーを耳とするなら、ローレライは目…三次元的に海中を「見る」ことができる、って発想は面白い。
個々の登場人物たちの ちょっとした交流とか、思い出とかは もう少し丁寧に描いて欲しかったかな。そしたらラストがもっと感動したかも…。
帝国海軍の潜水艦物語・・
ひどい駄作だった
何度も観てます
100年後の日本を想像してみろ
映画「ローレライ」(樋口真嗣監督)から。
終戦直前の指導者たちの葛藤が上手く表現されていて、
日米、仲間同士の殺し合うシーンがあるにもかかわらず、
鑑賞後に爽やか感が残り、他の戦争映画とは異なる感覚を感じた。
特に、役所広司さん扮する「潜水艦伊507艦長・絹見真一少佐」と、
堤真一さん扮する「海軍軍令部・浅倉大佐」との緊迫した会話は、
男の野望と正義がぶつかりあい、激しい言い争いになる。
「わからんか、絹見。100年後の日本を想像してみろ、
大人たちは誰も責任を取らず、行動もしない。
子どもたちは、自国に誇りを見いだせず、希望も持てない。
このままでは、日本は米国に従属する奴隷になりさがるぞ。
そんな国に、何の価値があるというのか」と一気にまくしたてる大佐。
それに答えて「私は信じる。たとえ国が焼き尽くされようが、
日本人は自分で絶望から立ち上がる。だからそんな考えには同調できない」
と言い返す艦長。行き詰まる会話に、私のメモは増え続けた。
戦争映画は、とかくメッセージ性が強いため、
時として、間違った方向へ洗脳してしまう可能性を秘めているが、
この映画は、国と国との戦いである戦争を題材にしているが、
ちょっと視点を変えれば、会社同士の争い、団体同士の争いにも通じる
大きな判断をしなければならない、指導者の葛藤が重なってみえる。
子どもたちのために「誇りや希望が持てる価値ある国・会社」にしたい。
どっちかというとSF
秘密兵器は秘密
日本でもこんな映画を作れたんだね
極秘事項
『真夏のオリオン』を見に行くので、同系列の本作を観ました
映画情報を得る前に観たため、香椎由宇の出演も知らず、画面に登場したときは驚きました、良い意味で。想像できない秘密兵器、一気に空想秘密兵器『もし、あの秘密兵器が活躍していたなら!?』という設定に変更。
上映当時は原作も知らず、電車の中吊り広告を見ても『ローレライ』の語感が戦争映画とはかけ離れていて ??? と見に行く気にならず、暗号名くらいの印象、ドイツ経済情勢を交えたありがちなスパイ秘密作戦程度に思っていました。映画宣伝で秘密兵器を強調すると、香椎由宇登場のインパクトが無くなるため作品印象は平凡になりますが、劇場へは足を運んだかも知れず。逆にそこを強調すると、作品の印象は1ランク下がる。いままで予告編で期待し過ぎ苦い思いをしたことが多々ありますので、興行収入上は不利でしょうが、後々の作品評価と言う点では評価UPです。(自分がたまたま予告になかったと思い込んでるだけかもしれませんが)
戦争映画の定番(義務・責任・家族・国家・憤り・葛藤・兵器・メカ・リーダーシップ・運命・希望・反逆)に(人間兵器)をプラス、人間兵器なので、『人間的弱さ』をあわせもっていたところ(アニメにもあったか?)が秀逸で、そこをカバーしたり、いたわりあって協力したり、艦内に少女が居る違和感(アニメ的?)が、見どころ。悪意のある登場人物も居なく、希望のある終わり方など、空想部分の味付けが絶妙で引き込まれて最後まで見せられました。
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