「子どもの目と皮膚と、気持ち」リトル・ダンサー そのさんの映画レビュー(感想・評価)
子どもの目と皮膚と、気持ち
流行歌に合わせてベッドでジャンプしてポーズする11歳の少年。ランニング姿の彼は、見るからに貧しいが、とても楽しそう。彼の父と兄は炭鉱で働き、ボケた祖母の面倒を見るのが彼の係。母は亡くなっている。そんな少年がボクシング教室から一転、バレエに出会い、踊り始めて・・・という話。
炭鉱労働者でスト中である父、バレエ教師の女性、オカマになりかけている友人などとともにストーリーが進むが、少年の目線でしっかり「子ども時代」「実家時代」の空気を映し出していて、あの頃の弾む気持ちとか、ただただ青い空とか、ぐっちゃぐちゃのルーズさとか、なんとなく黄色い土埃とか。観ている自分も子どもに戻って、一緒に走ったり踊ったりしているような。子ども時代の皮膚感覚の再現。
そんな実家ワールドの中でほとばしる、少年の、家族の、皆の気持ちが葉脈のように流れ、話は展開してゆく・・・体育館での夜のダンスシーン、そこからの父が良かったなぁ。
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