劇場公開日 2025年8月22日

「それってやる意味あるのかな。」リンダ リンダ リンダ リュウジさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 それってやる意味あるのかな。

2025年8月30日
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鑑賞方法:映画館

いやー、やっぱり大きなスクリーンで見てよかったわ。
抑えた演技のなかでも表情のかすかな変化が見てとれたし、
【見てなかった】ところにも【見えてなかった】ところにも気づくことができた。

初見はいつだったか、どのサブスクでみたのかも覚えていない。
ただ、思いっきりハマった。
特典のブックレットも読みたいからと限定初版DVDをオークションで落とし
(もちろんDVDも1~2年は繰り返し見た)、
脚本家向井康介の手によるシネマノベライズもブコフで探し当てて買った。
(小説には脚本家が思っていたパーランマウムの4人の後日談がある)

DVD鑑賞時代に気に入っていたのは、この映画の空気感。
それをカタチづくったのは演出・音楽・映像トーンもあるが、
キーとなったのは4人を中心とした演者さんたちの演技だろう。
声の大きさだけで感情を表現する青春映画と違う。

で、その印象はそのままに、今回、初めてのスクリーンでの映画鑑賞。

スクリーンの大きさと真っ暗な環境だからに映画に集中できるからだろう、
全身&五感集中で映画に没入。

たとえば冒頭に書いた表情だけでなく、
ソンと恵が初めて一緒に座るバス停でのカバン2つ分の2人の距離感。
(ソンさん→ソンちゃん→ソンと呼び方が変わる4人の関係の第一歩)
最初は一番後ろから3人についていっていたソンが
3人を引っ張るように先頭になっていった心理の変化。
(一番好きなのは、講堂でひとり盛り上がって部室に帰った時に
「ソン、やるよ」と言われて部室に入る際のソンの表情)

そして台詞。
学校の裏庭でボーカルをどうするか、悩んでる3人の所へ偶然やってきた凛子が言う
「それってやる意味があるのかな」。

今回の鑑賞で個人的にこの言葉が自分にとてつもなく響いた。

うん、意味?
意味ってなんだ?どういうものだ?

萌も「あんなに練習したのに意味のないものになった」っていってた。

大袈裟な言い方をすれば、
どんな【意味あるもの】でも
自分の思いも力も及ばない(さらに言えば無関係な)力によって
【意味ないもの】に一瞬で変わるのが今の時代だ。
例えば、ウクライナやガザのように為政者が起こす戦争
(核で一瞬で意味ある地球も消されないとも限らない)。
強引すぎる為政者の移民政策で思っていた日本が日本でなくなるかもしれない。

今、人はあまりにも不安定な世の中に生きている。
それでも「それってやる意味があるのかな」に
「意味なんてないよ」といいながらも、やる。
「だいじょうぶ?」と聞かれ
「だいじょうぶじゃない」といいながらも、やる。

人はそれしかできることはないのかもしれない。

ホントあまりにも大袈裟だけど、映画を見てそんなことを考えた個人的感想。

リュウジ
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