「冒頭の前田亜季が校舎内を歩く姿を横移動でワンカット長回しのシーンは、まるで溝口健二。」リンダ リンダ リンダ mac-inさんの映画レビュー(感想・評価)
冒頭の前田亜季が校舎内を歩く姿を横移動でワンカット長回しのシーンは、まるで溝口健二。
21年ぶりの再上映。4Kデジタルリマスター版。公開時は、ビデオで見てたので、劇場では初めての鑑賞。
冒頭の前田亜季が校舎内を歩く姿を横移動のワンカットの長回しは、当時見た時に、まるで溝口健二だと思った。
今回も改めて見て、このワンカットが素晴らしい。このカットで、主要人物紹介と状況を語りきる。画面内の作り込みがすごい。学園祭前のわちゃわちゃ感があたかも本当の高校に潜入したように、とてもリアルに生き生きと描かれている。
今回見て思ったのは、香椎由宇が、無茶苦茶いい。気が強くて脆くて、稀有な美少女感が素晴らしい。あえて言うならこの作品のためだけに存在している。(原田眞人の「バウンス ko GALS」の佐藤仁美にも同じように思った)。
香椎由宇に対立する丸本凛子役の三村恭代が、ラスト近くで、学園祭の楽屋でまるで「仁義なき戦い」の成田三樹夫みたいに腕組みをしている姿も「男前」でカッコいい(敵役が憎たらしいぐらい強くないと主役が映えない)。
ワンカットで撮っている練習シーンも珠玉ものだし、ラストに雨の中を走って「ドブネズミみたい」に濡れてしまうのもいい!
だけどそのままラストのライブシーンに上手く繋がらない。舞台に上がるともう制服が乾いている。泥だらけだったソンの制服も綺麗になっている。びしょびしょのまま、汚い制服のまま演奏したら、さぞ感動的だったと思う。
ライブシーンは、ちょっと山下敦弘らしくなく、演出の段取りが見えてしまっていた。
多分、まだ監督の山下敦弘も初期作品で、まだまだこなれた感じはなく、生硬なところもある。だがそれが生々しさや青春のゴツゴツ感にもなっていい効果にもなっている。(武道館設定のシーンは夢設定だけどあれはない。ほとんどどこかの劇場で武道館には見えない)
でも、だらだら感も含め、いい映画です。大好きな映画。
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