ジェヴォーダンの獣のレビュー・感想・評価
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ジェヴォーダンの真の獣は…
18世紀のフランスの田舎地方ジェヴォーダンで、100人以上の村人が謎の獣に殺害された所謂“ジェヴォーダンの獣”を題材にした2001年のフランス映画。
先日のNHK-BSの「ダークサイド・ミステリー」でこれを取り上げ、無性に見たくなった。
ちなみに見るのは2002年にレンタルで見て以来だから、18年ぶり!
ほとんど覚えちゃいねぇや…。
作品はノンフィクションとフィクションを合わせたような感じ。
ルイ15世の命を受け、ジェヴォーダン地方に派遣された王室博物学者のグレゴワールと彼と義兄弟の契りを交わしたインディアンのマニ。
地元の村人や侯爵らに怪訝な目で見られながらも、謎の解明と調査を開始する…。
ミステリーとスタイリッシュなアクション、そこに少々の中世ダーク・ファンタジー要素も併せた、フレンチ・エンターテイメント。
…なのだが、
とにかく、前半が退屈。
獣調査を怠け、侯爵の娘といい雰囲気に。
山のようなナイスボディの娼婦モニカ・ベルッチともお遊び。
良く言えば華やか、悪く言えばヘドが出そうなくらい上品ぶってる侯爵らとのやり取りが延々ダラダラと。
もっと前半からスリリングに謎に挑む話を期待していたので、こういうの見たかったんじゃないんだな…。
でもまあ、これもこの時代特有の人々の暗部や思惑、事件の謎をそれとなく表していると言っちゃあ表している。
そんな怠惰な前半に対し、後半は急にアップテンポ。
少しずつ謎や事件の真相や獣や“犯人”の正体が明かされていく。
ネタバレチェックするのでズバリ言うが、侯爵や神父ら宗教絡む秘密結社の陰謀で、獣は異大陸から連れてきて飼い慣らしたもの。
よくあるあるの真相。中盤辺りから簡単に予想も付く。
獣も前半は焦れったいくらい姿を見せなかったのに、後半からは作風か監督が変わったかのように出し惜しみ無く出現。
獣の造型は化け物のよう。
監督のクリストフ・ガンズは日本の怪獣映画ファンらしいが、さすがにリアリティーに欠ける。
作品も実際の凄惨な怪事件を題材にしたミステリーなのか、この時代のドス黒い思惑蠢く人間模様なのか、アクション映画なのか、モンスター映画なのか、てんこ盛りだが巧く纏まっているとは言い難く、主軸がブレブレ。
ちと惜しい作品であった。
しかし、ジェヴォーダンの真の獣は人々のダークサイドという観点だったら、あながちズレてはいない。
尚、キャストではマニ役のマーク・ダカスコスが光っていた。
実際にも陰謀論はあるという。
獣は猟師によって仕留められるも、それは自作自演の声も。
死骸は剥製として王宮に飾られたらしいが、それは本物なのか…?
その正体は…?
「ダークサイド・ミステリー」ではオオカミと野犬の交配種説が挙げられていたが、他にもオオカミ説、野犬説、海外から持ち込まれたハイエナ説、さらには絶滅した筈のサーベルタイガー説まで。
どれも本当の真相には至っていない。
多くの犠牲者を出し、あまりにも凄惨な事件となったが、今も尚謎に包まれているからこそ惹き付けられる。
それにしても、「ダークサイド・ミステリー」で取り上げられた題材の映画あれば、どうしても見たくなる。
JFK事件、八甲田山遭難事件、切り裂きジャック、三億円事件、ディアトロフ峠事件、このジェヴォーダンの獣、次はゾディアック事件…。
毎週の楽しみ!
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