「美しく作られている侍になりたい実現映画」ラスト サムライ きらりさんの映画レビュー(感想・評価)
美しく作られている侍になりたい実現映画
山が日本の山じゃない…テレビの地上波放映時にふと思った。良くてきた日本映画フェイクの様な気がして…見ないでいた作品だが、今回WOWOWで字幕版で鑑賞。
真田広之の鎧を見た時違和感を感じたが、これは映画で十分日本の鎧らしく作られている、むしろその他多くは非常によく再現されている映画だと思いました。
全般にちゃんと日本人の力量のある役者を使っており風景も美しく成功した映画だと思います。
真田広之が目立ちすぎて立ち廻りをカットされたという逸話を聞きましたが、本来なら真田広之が若く元気な内に彼を主演に良い時代劇を作れたはずなのに日本では中々そんな作品は作れなかった。そんな中この様に美しい映画を作るのは良い事だと思います。
アメリカ作品で日本を描いた作品としては「硫黄島からの手紙」があり、あれは非常に素晴らしい作品ですが、本作は侍賛美的な映画で侍になりたかったアメリカ人の夢実現映画で、最後はカッコよく本物の侍と共に理解し合って共闘し天皇にも拝謁し人知れず日本の山里で侍として生きて行くというファンタジーです。
「シン・仮面ライダー」の主演をした池松壮亮が子役として演じており、そこにビックリしましたが、しっかりとした演技をしています。渡辺謙はメッチャ、西欧の思い描くザ・サムライだし、小雪は日本女性らしいく、トム・クルーズに着付けする場面がとても美しかった。
天皇を演じる中村七之助も良く、彼が決着を納めるのが演劇作品的ではあるがそれはそれで納得。渡辺謙の息子役の小山田真には何となく違和感があったがアメリカで活躍する日本人俳優。
ハリポタでネズミに変身するピーター・ペティグリューを演じるティモシー・スポールが通訳としてトム・クルーズの味方として出ているがしっかり存在感を感じる。
トムを米国まで訪れて招聘した大臣兼通訳の大村役は原田眞人、英語に堪能そうに見えたがなんとスター・ウォーズ日本語版の翻訳監修等を務めた人で、ロスで修行した映画監督。演技がうまいというよりとても自信に満ちた感じを受ける。
エセ日本じゃなくて美しくファンタジックな日本を描いてくれてありがとう、とは思うけど、「トム、素晴らしいセットの中で真のサムライになれて良かったね〜」という感想です。
「切腹」という怪作を知っていると名作とは思わないのですがハリウッドのエンタメ映画としては多分良い作品なのだろうなと思います。
日本をどう捉えているかを知るのに肯定的に描かれ日本人を美しく描いてくれた好意的作品です。
一つ、戦闘シーンで何度も馬が横倒しになる場面があるのですが、あの馬骨折していないかしらと可哀想に感じました。動物虐待反対を唱える者ではないのですが、本当に迫力があるので。