この世の外へ クラブ進駐軍のレビュー・感想・評価
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1974年「ベトナム人民支援ジャズコンサート」南里文雄
この映画の主人公は原信夫さんがモデルだと思うが、彼はシャープ&フラットを1951年に結成している。
エンドロールで流れたのは多分50周年の時の映像じゃないかなぁ?
さて
50年と言えば、同じ様な境遇のトランペッターの南里文雄さん没後50年である。我が亡父は横浜に彼の演奏を聴きに行ったと聞く。大変に尊敬をしているっていっていた。
経緯は知らないが、南里文雄さんはベトナム戦争反対の立場で1974年に支援コンサートをしている。その翌年の1975年の8月に亡くなっている。4月にはアメリカ軍は撤退を終了したので、思いは叶ったのだろう。冥福をお祈りする。
この映画の様に薬物中毒でなくなってなどいない。もっとも、南里文雄さんは戦前からデキシーランドJAZZをやっていた日本のサッチモと呼ばれる歴史的な方ではあるか、勲章の様なものを国から授かってないはずだ。忘れられし国の宝の様な方と僕は思っている。勿論、原信夫、松本英彦、前田憲男、ジョージ川口のビッグフォー❤は凄い。僕はそのセッションを1981年に日本武道館で聞いた。
追記
渡辺貞夫、サラ・ボーンもセッションに加わって、最後は
「イン・ザ・ムード」だったかなぁ。
戦争を始めたのは誰だ!?
ダニー・ボーイを歌う萩原聖人。なかなか良かった。頭にきたのがよくわかるエピソード。バンド内のいざこざも居酒屋を中心に上手い演出されてました。その居酒屋といえば、徳井優。この酔っ払いがなんともいえない味を出してます。
ピアノのメンバーが引きぬかれた先が美空つばめのバックバンド。契約したROSEという店も期限切れだし、審査会も落ちてしまった。長崎出身で被爆した親に仕送りを続けるオダギリジョーや楽器店の息子の萩原聖人。「戦争は終わった」「戦争は終わってない」「戦争を始めたのは誰だ」と、今のウヨにも聞かせてやりたいような言葉がポンポン出てくる。
俳優たちはかなり練習を積んでいるようだ。なかなか締まっていました。
朝鮮戦争死傷者数が字幕に出たあと、エンドロールではかつて進駐軍で活躍したと思われる往年のジャズプレーヤーの映像が出てくる・・・ちょっと感動的。
様々な要素がジャズを背景に詰め込まれた映画
メンバーそれぞれの抱える問題が限られた時間で上手く詰め込まれていた。
挙げるとキリがないが、被曝者、戦争孤児、ヒロポン、パンパン、アカ、復員兵...
そこにアメリカ兵、そして黒人兵、PTSDなどアメリカ全体が抱える問題も加わる。
進駐軍が戦争が終わって日本に来たと思ったら朝鮮戦争に駆り出されたこと。
それらの問題がジャズを背景にして上手くまとまっていた。
I’ll be right back を「ちょっとそこまで行ってくる」と訳したのがとても印象的。
Out of this world 、とても心に響いた。
ただ、前田亜季の役は正直、いらなかった。バンドがアメリカ兵との交流の中で上手くなっていく印象だった中で彼女の歌が下手だったので本当に残念。
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