劇場公開日 2001年8月25日

「どこを切ってもベッソン印、唯一無二のバカフレンチカンフー鍼灸アクション」キス・オブ・ザ・ドラゴン よねさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0どこを切ってもベッソン印、唯一無二のバカフレンチカンフー鍼灸アクション

2020年7月5日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

中国からパリにやってきた腕利きの捜査官リュウは日仏合同捜査で麻薬密売組織のソングを逮捕しようという作戦の最中に地元警察の刑事リチャードの策略でソング殺害の容疑をかけられてしまう・・・という序盤だけで誰の脚本かが判るヨーロッパ・コープ謹製のバカフレンチカンフー鍼灸アクションの傑作。

劇中に登場する通貨がフランなのでそんな昔の映画でしたっけ?と思ったら2001年の作品だったので驚きました。とはいえ個人的には「レオン』と同じくらい好きなヨーロッパ・コープ作品。しかし『レオン』が重要傑作扱いでこっちがほぼ忘れられているというのが信じられないわけですが、仲間だろうが通行人だろうが関係なく惨殺する鬼畜系刑事リチャードを演じるチェッキー・カリョのけたたましい狂気が『レオン』におけるゲイリー・オールドマンのそれと肩を並べていることをまず強調しておきたいところ。リュック・ベッソン脚本なので、お話の肝になるはずのリチャードの犯行を捉えたビデオテープが途中でどうでもよくなってるとか、ジェシカとリュウの出会いって完全に偶然ですがいくらなんでも都合よすぎだろとか、リチャードの部下達は孤児院でリュウとジェシカをわざわざ布団に潜り込んで待ち伏せする必要あったのかとか、ポンと叩くだけでアホみたいに埃が立つ頭の悪い物語ですが、リュウがカンフーだけでなく鍼灸も極めているというのが本作の個性的なところであり、ベッソンって必殺シリーズまでもちゃんと押さえているのかと今更戦慄させられます。そして何と言ってもジェット・リーの脂の乗った切れ味鋭い身のこなしが美しく、ワイヤーに頼らないオールドスタイルの格闘はとにかく流麗。後に『アルティメット』シリーズの主演を任されるシリル・ラファエリと繰り広げる凄惨な死闘はとても20年前のものとは思えない気迫が漲っています。

ちなみに本作の後しばらくしてブリジット・フォンダは人知れず引退していたようです。『ニキータ』のハリウッドリメイク『アサシン』に主演した実績をかなぐり捨てる絶妙にリアルな激安演技がとても素敵だっただけに残念です。

よね