劇場公開日 2005年10月22日

「甘い」私の頭の中の消しゴム かみぃさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5甘い

2010年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

拙ブログより抜粋で。
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 前半の流れは目を見張るほどに流暢で、二人が幸せをつかんでいく様子は爽やかな音楽を聴いているかのように心地いい。難を言えば、あまりに軽やかに事が進みメリハリに欠くのだが、後半へとつながる伏線も用意周到に張り巡らせてあって、ここまでは上出来。
 そしていよいよ中盤の山場、スジンの難病が発覚し、物語は180度暗転していく。
 その後の顛末は実際にご覧になっていただきたいが、筆者としてはこの映画に乗れたのはここまで。

 一言で言えば、後半の話が思いのほか薄すぎる。泣けるほどの悲しみのピークは幸福の絶頂に病魔が発覚した時点で来てしまい、後は物語そのものが惰性でしか展開していかない。

 さらに言うと、スジンが難病に侵されて悲劇に向かうことは、タイトルを含めた前情報で観客にインプットされているのに、その割には前半が冗長すぎる時点で「思っていた映画」と違う気がした。観る前の印象としては、一種の「難病ものの映画」との認識でいたのに、この映画は明らかに「恋愛映画」で、病気は二人の仲を邪魔する“ひとつの仕掛け”でしかなかったからだ。

 そうとわかってしまえば、前半にも比重を割いて出会いから丁寧に描くのも合点がいくし、後半は愛するゆえの悲しみに重点を置いて、闘病らしい描写がほとんどないことも納得せざるを得ないのだろう。
 ただそうだとしても、後半に力を感じないのはいやおうなき実感で、難病という悲劇の上にまぶした愛の甘味料が効きすぎだろう。どんなに救いようのない状況下に置かれようとも一途に愛を繋ぎとめようとする美男美女の姿は悲劇どころか、どこか幸福的にすら見えてしまう。絶望的に見せかけても、これは夢見心地の甘い甘い恋愛映画なのだ。

かみぃ