「大島渚監督が提示する日本の一家族、そしてそこから脱出しきれない少年の物語」少年(1969) Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
大島渚監督が提示する日本の一家族、そしてそこから脱出しきれない少年の物語
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実話に基づく話らしい。雪だるま登場まで含めて、是枝監督の万引き家族と似ているのは、偶然なのか?、それとも是枝監督がこの映画を一つのモチーフにしている?
いずれにしても、車への当たり屋を仕事とする一家族の日本縦断の旅は、興味深かった。後半崩れてしまうが、小山明子妻、渡辺文雄夫、そして少年、各々の役割分担ができていて、お見事。そして、母とは血が繋がっていない少年の揺れる心が、素直な演技の良さもあってか、心に響く。
中学生の少年は思い立って家出までするものの、寂しさで帰って来てしまう。後半は、秘密を共有した母と二人三脚で犯罪を重ねる。死んでやると思って外に出たが、母違いの可愛がっている弟に追いかけられて、本当の事故が起きてしまう。
家族が憎くも恋しくもある一少年の複雑な心の揺れ動きを、南国高知から北海道の北の果てまでの旅情をバックに、愛と希望の街の様な声高の主張は控えて、淡々と描いている。それができる監督の大島渚に好感と強い興味を覚えた。
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