「独特」過去のない男 Jolandaさんの映画レビュー(感想・評価)
独特
十数年ぶりに鑑賞。
なんか、コンディションの問題なのかわかんないんだけど、初めて観た時よりも、わー独特だナー、、と感じました。
ただ単に登場人物がみんな良い人でほっこりするっていうユートピア的な世界ではなくて、ちゃんと善玉悪玉まざってるんですよね。比率的には、善玉多め?
最初に主人公を介抱してくれる、海辺のプレハブ小屋に住む夫婦の奥さん、特に良い人。あらすじには「極貧」て書いてあることが多いんだけど、子供二人いて旦那の仕事週2っていうけど旦那がヘソクリでビール飲む余裕あって、って、極貧か…? 恵まれてるの、旦那の仕事もあるし。って本人も言ってるし、どっちかっつーと治安が悪くて失業率が高そう、街全体の。見てると。
でも定食屋?カフェ?の人とか、優しい。こういうとこに、のどかさが出てるのかな。
超、金にがめついおっさんが飼ってる犬(メスなのに名前がハンニバル)が、かわいい。ハンニバル超かわいい。もっとハンニバルのシーン増やしてほしかった(笑)
そのがめついおっさんからかなりな額で借りてるプレハブ小屋を、いつ立ち退きになるかわかんないのに綺麗に掃除して、直してもらったジュークボックスも置いてカスタマイズする主人公。拾った?冷蔵庫をテーブル代わりに、海辺のおっさんと修理工の兄ちゃん?にスープを振る舞う主人公。男3人が黙々とスープを啜ってるだけなのに、なぜだろう、面白い(笑)
そして小屋の近くにタネイモを植えて芋畑をつくる主人公。
化粧っ気の無さそうな救世軍のイルマが、主人公にほっぺチューされた後、慣れない化粧品をおずおずと試してみるシーン。いいっすね。
爆笑する感じではないし、登場人物たちも大体みんな真顔なんだけど、なんかクスッと笑えるシーンが都度、ある。
記憶喪失は大変だが、その後も、ものすごいドラマが、起きそうで起きない。起こったと思っても、あっという間、あるいは、あっけない幕引き。でも、そんなもんかもしれない。収穫した芋を譲る譲らないの交渉をしてるだけなのに、なんか見入ってしまう。神は細部に宿ると言うが、とどのつまり、そういった現実の一大事の連続が人生なんだろうね。なんつて。