劇場公開日 2001年4月29日

走れ!イチロー : 映画評論・批評

2001年5月1日更新

2001年4月29日より丸の内東映ほか全国東映系にてロードショー

イチローに勇気づけられた神戸の人々の人間模様

大リーグに移籍したイチロー選手の話題が続いている。その彼にあやかった題名だが、原作は村上龍『走れ!タカハシ』だった。原作と全然似ない映画を撮った点は、かつて宮澤賢治自身と全然似ないその傑作伝記映画を撮った大森一樹らしい。主軸となるのは、建設会社をリストラされた中村雅俊、その妻で母校のソフトボール部の臨時コーチになるため神戸へ突然行く浅野ゆう子、それにそのコマッチャクレタ娘の一家。母を追い父娘が神戸に行くや、二人の別々の行動を通じ様々な人物が数珠つなぎになってゆく。優に数話分の話がある。スタンドボーイ松田龍平の初恋物。靴職人加藤武の人情物。石原良純の滑稽な不倫物。それらが実在のイチローの逸話と絡み、中村・石原・松田それぞれは名前がイチローかまたは一浪というオチ。互いに無関係と思われた人物たちをロンドでつなぐ手さばきが見事だが、かつての大森の「大失恋。」ほどは圧倒されない。ともあれ最後になってソフトボール部と、中村夫婦ら2組の夫婦、さらには震災後の神戸と、オンパレードだった「再生」の主題が一つになる。イチローの話題へのあやかり方がすごく「映画的」(観ればこの意味わかる) なのが最大の見所だ。

(阿部嘉昭)

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