「宝石箱のような映画」ハウルの動く城 villageさんの映画レビュー(感想・評価)
宝石箱のような映画
最初に映画館で観たときは、とにかく難解だなあという印象だった。
そこから約二十年ぶりに今回鑑賞した後、一番に感じた印象は、こんなに「恋愛映画」だったんだ!ということ。
地味で自分の容姿に自信がないけど、責任感が強く芯が真直ぐで美しい心を持ったソフィー。キザで格好良くて天才的な魔法の才能を持ちながら、実はピュアでナイーブで気が弱くて、誰にも言えない秘密を抱えているハウル。最初から最後まで、この二人の運命的な出会いと成長を軸に描いていることに、今回初めて気づいた。
そして、心ときめく(近代ヨーロッパの街並みと雄大な自然をモチーフにした)素敵な風景、そこに自然な形で組み込まれている魔法の世界、敵とも味方とも分からない掴みどころがないけど魅力的なキャラクター達がドタバタと繰り広げる映像表現は、まさに「アニメーションの魔法」というべき特別な体験をさせてくれる。城の造形や動きはマニアックでグロテスクでカッコいいし、荒地の魔女やカルシファーの変幻ぶりは見ていて飽きがこない。
本当に宝石箱のような映画だと思う。
最後の急展開な終わり方のドタバタぶりは、いつものジブリ作品に更に輪をかけていて、映画の理解や共感を困難にしている主な原因だと思うし(誰彼かまわずキスばかりするソフィーの行動しかり)、結末は余りにもご都合主義が過ぎる気がするけれど(急に戦争をやめると言い出すサリバン先生然り)、そんなことも全部ひっくるめて、これぞジブリ!という作り手の熱量に溢れた映画だと思う。(若干無理矢理かな。笑)
少なくとも僕は、初見で見たときと比べて(自分でも驚くくらい)純粋に、楽しんで観れました。
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