あなたになら言える秘密のことのレビュー・感想・評価
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重いテーマをきれいな映像が和ませる
かなり重いテーマだが、観終えた時にはそこまで落ち込まない。時間帯や天気により様々な表情を見せる油田発掘所のたくましく美しいたたずまいや陽キャラの存在により、本作を重いだけの作品で終わらせない。
そしてテーマのわりには明るいエンドロールにも救われた。
ところで、ハンナが旅先で立ち寄ったレストランでかかっていた音楽、聴いたことない曲だったが日本語だったよね…。
重いが救いがある
非常に重いけどいい映画でした。主人公ハンナ(サラ・ポーリー)の普段からの態度の意味が終盤明かされる。
目が見えないときも見えるようになってからも患者ジョゼフ(ティム・ロビンス)のセリフにキレがあって良かった。
サラ・ポーリーの笑顔って初めて見たが、言っちゃ悪いが美しくない。笑う役はやらない方がいいと思う。
【強烈な反戦メッセージを込めた映画であり、深い深い喪失から仄かに仄かに魂の再生をして行く男女の姿を描いた物語。作品構成も申し分なき映画である。】
ー 毎日、誰にも関わることなく真面目に工場勤めをする”ハンナ”。だが、彼女は働きすぎという理由で会社から一か月間の休暇を申し渡される。
そして、”ハンナ”が行ったのは、リゾート地ではなく、火災事故を起こしたばかりの海底油田掘削所であった。
何故、彼女は”看護師”として傷ついた人のために海底油田掘削所に行ったのか・・。-
◆感想
・”ハンナ”が海底油田掘削所に行った理由は、徐々に明らかになる。彼女は火災のために火傷をして一時的に目が見えなくなっている男、ジョゼフ(ティム・ロビンス)の世話をする。
- この時点では、”ハンナ”が哀しき過去を持つ女性であり、それ故に現在辛い状況に入る人々の元に行ったと思っていた。私の予想は大枠は外れてはいなかったが・・。ー
・冒頭からモノローグの様に流れる幼き子の声。これは何だろう、と思っていたが・・。
・”ハンナ”はジョゼフの世話をする中で、彼のユーモアに触れ、彼の人柄を知る。だが、”ハンナ”は自分の姿については、一切喋らない。
- だが、ある日、ジョゼフが少年時代に経験した哀しき父親による出来事を聞き、”ハンナ”の心は徐々に変化していく。-
・海底油田掘削所で働く孤独を愛する人々、特にコックのサイモン(ハビエル・カマラ)達と交流を持つ事で、”ハンナ”の心は更に変化していく。
・そして、”ハンナ”が過去、自らとその親友の女性に起こった、当時住んでいた地域で起こった紛争(見ていれば、どの紛争であるかは直ぐ分かる)により、心と身体に負った深い深い傷をジョゼフに語るシーン。そして、自らの着衣を脱ぎ、目の見えないジョゼフに身体中の傷を触らせるシーン。
- このシーンは、彼女が如何に哀しき過去を経験していたか、それ故に人との接触を断っていたかが一発で分かる哀しきシーンである。-
・回復したジョゼフが”ハンナ”が2年間掛かっていたカウンセラーの女性を訪れるシーン。そのカウンセラーの言葉は重い。
”ヒトラーが、大虐殺をする際に何と言ったか知っている?彼は、アルメニアの大虐殺は今では覚えている人はいないと言ったのよ・・。”
<ジョゼフは、カウンセラーから渡された”ハンナ”に関するビデオを見る事無く返し、再び工場で働き始めた”ハンナ”に会いに行く。
そして、初めて平穏な生活を始めた”ハンナ”の心の声は少しずつ、減って行く・・。
今作では、戦闘シーンは一切ないが、それ故に戦争が人の心に齎す傷を鮮やかに描き出した作品。
そして、今作は王道の喪失と再生の物語でもあるのである。>
さらっとじんわり残ります
なにも考えず、DVDの裏の解説も読まずにてっきりコメディ映画だと思って借りたら、実はシリアスな社会派ヒューマンドラマでした。しかも今知って驚いたのが、製作にアルモドバルが絡んでること。
舞台は海の上の油田所で、「イングリッシュ・ペィショント」のように事故によって失明した患者と看護する女、そしてそこで働くはぐれ者たちの心のふれあいがストーリーの軸になっています。女は耳が不自由で、しかもほとんど自分のことを語ろうとしない。そして、その過去が最後のほうで一気に明るみになっていく。
社会からはみでた周縁の人を描いた映画ですが、この手の作品にありがちな独りよがりさはまったくなく、説教くさいわけでもなく、淡々としたタッチで描かれています。それは、あくまで「心のふれあい」に主眼を置いたからではないでしょうか。サラ・ポーリーという女優さんはちゃんとインプットされました。そして、ティム・ロビンスって相変わらず無愛想だけど、いい俳優だと思いました。
不思議とさわやかな作品でした。
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