劇場公開日 2005年10月29日

「原作を読んだものとしては…」春の雪 うさぎさんさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0原作を読んだものとしては…

2024年7月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

寝られる

原作を読んだものとしてはひどいの一言につきる。

竹内結子、妻夫木聡の演技に文句をつけるつもりはない。

ただ、脚本、演出がひどすぎる。

原作のセンセーショナルな部分だけを、ぽんぽんと配置しましたという印象が強い。

綾倉伯爵と蓼科の会話と関係は、原作の中ではかなり後半で暴露されることで、豪華な食事の隠し味をこっそり表現したようなもにすぎない。メインではないのだよ。それを映画の冒頭にもってきて不穏感をあおる演出には、肯定できないし、この映画の方向性を示しているようで、いきなり、がっかりした。

それに物語の中心的役割を果たす、本多の軽さはひどいでしょう。本多は剣道なんかはしませんて。清顕と同じで、ずっと内省的な青年ですよ。とはいえ軟弱ではないし、行動力のある、聡明な青年なのですよ。この辺は演出、演技指導が間違っているということでしょう。

この濃密で緻密な原作を、2時間の映像に納めることは非常に難しいとは思いますけど、できないのであれば、やめればいいのである。

三島文学への冒涜である。

うさぎさん