博士の愛した数式のレビュー・感想・評価
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いー(e) ぱい(π) あい(i) じょう(乗) だけでは まだ繋がらないから
吉岡秀隆さん演じる先生の数学の授業が面白い。
回想パートの会話が面白い。
会話のネタがなかったら数の話をする博士の上品さと優しさ、頑固さもあって好き。
博士を演じた寺尾聰さんのファンになった。
吉岡秀隆さんの小さかった頃とそっくりな子がルートくんを演じていた。
ルートくんのお母さんを演じた深津絵里さんが可愛い。
浅丘ルリ子さん演じる未亡人の恋愛エピソードが切ない。
「eのπi乗は-1」という「オイラーの公式」が洒落ている。
e(イー)π(パイ)i(アイ)の三人だけでは答えがマイナス1になる。
未亡人が加わること(+1)によって答えが〇(輪)になり繋がる。
教室の窓の外にいる四人の回想シーンで終わるラストがステキ。
ルートははじめから優しい
初めて博士に会うときから、博士の変わった点を質問しない。
ジャケットにいくつものメモを貼っていたら、質問したくなる。
大した事件も起こらず、日常生活がすすむ。
ほわっとした映画でした。
博士はノックが上手でした。
午後ロード 録画視聴にて
原作から来たからなぁ…
原作の最後の畳み掛けからの、あの最後の一文で本当に深く感動してしまったから、どうしても映画版は評価しにくい。
変わらない3人の関係とそれを押し流していく時間、美しく変化していく思い出、迫る老いによる別れの予感、その諸々が押し寄せて最後の一文で印象的な情景を固定する。
あのラストでめちゃくちゃ感動して映像も観ることにしたんだが、何か変な独り言で説明するし、成長したルート君がどうにも可愛くないし、それでも全体的にはちゃんと雰囲気作ってるんだけど、あの完全な最後の一文を改変したら原作の良さ半減だよって思ってしまった。
セクシー田中さん事案で色々と思い出したので備忘も兼ねて。
静かで優しい物語
記憶が1時間程度しか持たないというのはどんな気持ちになるんだろう。
以前見たドキュメンタリー番組で7秒前の記憶が消えていく女性を見たが、
その方はとても明るく、受け入れて生活していた。
話は戻るが、記憶が無くなっていくのはすごく怖いなあ。
また見たい。
【”e πi +1=0”。そして、時は流れず・・。”友愛数の如き温もり溢れた作品。博士と”N"との関係が明らかになる過程は、心に響きます。】
ー 小川洋子さんの原作は好きで、且つ、素数、虚数、完全数、ネピア数、階乗、オイラーの公式(これだけは、完全に理解出来ていない・・。)という数学の言葉を自然に、博士(寺尾聰)と、”母”(深津絵里)と10歳のルート(大人になり数学の先生になったルート(吉岡秀隆))との会話に盛り込んだストーリー構成が素晴しい。ー
◆感想
・今作は、観賞していたと思っていたが、未鑑賞であった。
(どうやら、私も記憶が80Mしか残っていないようである。)
で、観賞した訳であるが、結論から言えば、非常に面白き作品であった。
・”事故”の後遺症により、80Mしか記憶が継続しない博士と、”母”と10歳のルートとの、丁寧語での会話の遣り取りが、心地よい。
ー ”母”と10歳のルートが、博士に対して自然に触れる姿。
”君の靴のサイズは幾つだい?””24センチです。””階乗の数字だね。清々しい。”
”君の頭は√のようだね。素敵だ・・。”
と毎日繰り返す教授と、”母”とルートの会話の品性高くも、教授を気遣った態度。-
・そして、”本宅”の暮らす義姉(浅丘ルリ子)と別宅に暮らす博士との関係性を自ら語る義姉”N"の真実を語る言葉。
・大人になり、数学の先生になったルートが学生に対し、黒板に様々な数式を描いて数学の美しさを解くシーンも、とても良い。
■”e πi +1=0 ”ネピア数e・虚数i・円周率πの決して交わることのない矛盾するものが統一され、自然と繋がり、そしてゼロ(無)になる・・”。
この数式に、博士の義姉に対する、時を越えた愛が凝縮されているのである。
<今作は、哀しき物語ではあるが、数学の公式を極く自然に会話と、博士の変わらぬ愛に織り込んだ品性高き作品である。>
記憶の不自由な数学者と、若い家政婦さんと息子のルートの物語り。
素敵な映画でした。
とても好きです。
2006年。監督:小泉暁史(黒澤明の助監督としても活躍)
寺尾聰が演じる初老の数学者(この映画では博士と呼ばれます)
博士は10年前の交通事故で脳に障害を受け、そのため記憶が80分しか持ちません。
義姉(浅丘ルリ子)の世話を受けて母屋の隣の離れに暮らしています。
記憶の障害のため、長続きしない家政婦さん。
選ばれたのは33歳でもベテランの家政婦の杏子(深津絵里)でした。
杏子はシングルマザーで10歳の息子を育てている頑張り屋さん。
博士はいつも家の中でも古びた背広姿です。
襟や袖に忘れないことをメモした紙を止めています。
杏子との初対面の挨拶は、
「キミの靴のサイズはいくつかな?」
「24です」
「キミの電話番号は?」
「576ー1155です」
この会話は毎朝必ず繰り返される慣用句です。
杏子さんの息子はルートです。
それは博士が付けたニックネームで、頭のテッペンが平らで、
寝癖で片側の髪の毛がルート記号のように飛び跳ねていたからです。
そして大人になったルートの登場です。
ルート(吉岡秀隆)は大きくなって高校の数学の教師をしています。
吉岡秀隆が博士の思い出を語る形で授業が進められ、母親・自分そして博士との交流が
数学の授業の形で語られるのです。
数学の授業はとても難しい。
階乗。
完全数。
虚数。
素数。
友愛数。
ネピア数。
ルート先生は実に噛み砕いて教えて下さるのですが、
聞いても右から左へ抜けてほとんど私の頭には残りませんでした。
でも授業が心地いい、気持ちいいです。
博士は言います。
数学は宇宙と同じ、直感で感じなさい。
それでいい、分からなくともいい。
博士はルートを心から愛してくれます。
ルートと母親・杏子さんの約束はふたつ。
【博士を絶対に悲しませないこと】
【その話は聞きました、と決して言わないこと】
3人の共通項は《阪神タイガース】でした。
博士の大好きな江夏豊の背番号は28。
そして村山実の背番号は11。
博士にとって数字は必ず意味があり、すべてを数字で考えるのです。
ルートも大の阪神タイガースファン。
(作者の小川洋子さんも奇のつくタイガーファン)
ルートが数学の教師になったのももちろん博士の影響だし、
優しい子に育ったのももちろん博士の愛を受けたから。
博士の哀しい過去。
義姉(浅丘ルリ子)との恋愛と交通事故との因果関係は字数も足りなくなりますので、この辺に致します。
博士の生まれ変わりのように寺尾聰さん。
原作を決して読まないで映画に入るのが作法、とのことです。
原作も好きだけど、映画も良かった。 博士の優しさに、言葉ひとつひと...
原作も好きだけど、映画も良かった。
博士の優しさに、言葉ひとつひとつに心温まる。
博士と家政婦とその子供の交流も観ていて気持ちが温かくなる。
背景の自然の風景も素敵。
刹那に生きる
確かに原作とは違いました。が、どちらも読後感と鑑賞後の後味みたいな物は似ていました。
伝えたいのは、きっと刹那に生きる人が、数学が好きであっても何が好きであっても、人生の喜びは感じることができるんだと言うことなんじゃないかな、と。
ただ静かにその時を生きる。そこに数学という哲学があるんじゃないかと。
数学の魅力に気付かされるわ!
記憶が80分しか持たない天才数学者博士と家政婦の杏子とその息子ルートの心温まる触れ合い!
ルートが大人になって、数学教師になり、数学に興味を持ったきっかけを語るところからスタート。彼が子供だった頃に、博士と出会い過ごした日々を語るにつれ、次第に、数学の美しさに引き込まれる!
私もこのように数学を教わりたかったなぁ。数学は、このように身近なところにいつもあるはずなのに、ただただ公式を覚えて、試験のために問題を解くのでは、数学の魅力なんて伝わらないよね。
重い映画と思っていたが
記憶がなくなる映画ということで、「私の頭の中の消しゴム」や「明日への記憶」みたいな、かなり悲惨な映画かと思って観たら、どちらかと言えば癒し系の映画といっても過言ではないでしょう。 あちらがアルツハイマー病で、この映画は事故が原因で記憶が続かない病気との違いでしょうか。 この映画を観たら数学が好きになる人もいるのではないでしょうか。主人公の寺尾聰と深津絵里がいい演技をしています。
愛情と優しさがいっぱいの映画
評価が3くらいの映画を見るときはちょっと迷うのだが、この映画は最高に期待を裏切ってくれた。
他の人がほどほどの評価なのに自分がこんなにも驚くほどに感動している映画に出会えたのがより嬉しい。
自分はこの映画の作家や監督と気持ちが通じた。相性ばっちりである。
すべての人に受け入れられる映画より、誰かにだけでも、より深く深く伝わればいい。人生もそんなもので、すべての人に愛される人生でなくていい。わかる人にだけ愛されたらいいのだ。
教員資格を持つ私には吉岡秀隆の講義による導入から、もう引き込まれた。
数学は苦手で全くわからない。しかし博士は正解なんて求めてない、常に温かく人をみていて、数学を愛し、数学の中から、真理を導き出す言葉を語る。いろいろないい言葉あって深いのだが一つ一つは覚えられなくてまた見たい。
ルートへの博士のかける言葉の温かく優しいこと、ここだけで感動する、そして博士を傷つけないように、その話は聞いたとは絶対に言わないと約束し合う親子の優しさよ。なんと温かいのだろう。吉岡秀隆の少年役のルートが、かわいくて、どはまりした。
また野球が好きな僕にとって野球愛の気持ちに響く映画でもある。野球ファンならたぶんみんなに響く。
博士が野球の試合を応援に行くと、少年たちの背番号が全て博士のために博士の知る時代の阪神タイガースの選手の背番号で並べられていた。この場面がめちゃくちゃ好き。そして、あのルートの背番号は何だ?私の息子のルートです。背番号ルート!!思わず笑いそしてそこ涙!!笑い泣きってあまり経験がない。わかる人にしかわかんないんじゃないかな。この優しさなあ。くるよ。
寺尾聰、深津絵里、少年、義理の姉、吉岡秀隆みんな良かった!!
今を生きる大事さ。そうだよなあ。何回も見てみたくなる映画です。
また寺尾聰のキャッチボールとノックなかなか様になってました。野球やってた人かな?!たぶん。江夏豊好きってのも良かったな。好きな映画が増えた。
友愛数 (220, 284)
子供の頃「ろうそくの科学」や「ゼロの発見」などを読んで自然科学や数学に興味を持った人もいるでしょう、好奇心とその解明は人類発展の礎です。映画は中学校の数学教師として赴任した若い先生の思い出話、小学生の頃に影響を受けた数学の博士の話から始まります。
オイラーの等式以外はそんなに難しい話ではないので懐かしく思い出す人もいらっしゃるでしょう、ただ文系の原作者小川洋子さんが数学の世界に惹かれたのはエンジニアの旦那さんの影響なのでしょうか、参考文献に「放浪の天才数学者エルデシュ」とあるので伝記に触発されたのかもしれませんね。
小学生の息子をかかえるシングルマザーの家政婦さんと事故の後遺症で記憶障害を持つ初老の数学者、本来なら出会うことが稀な人達が織り成す人間ドラマ、シチュエーション・コメディのようでもあり哲学的深遠さもあり時々発する博士の含蓄深いセリフは心に響きました。
ただ、監督は原作は綺麗過ぎる話と思ったのでしょうか義姉との裏話を織り込みましたが折角の博士の人格を損なわせるだけに思え残念でした・・。
優しさでできた物語
数字は人の感情と対極にある冷たく、無情なもの。何となくそんな存在となっていました。
子供の頃であればテストの点数や通知表、大人になれば営業成績や実績、私達は常に数字で評価されてきました。そこには努力や我慢等のプロセスのストーリーは無い。しかし、この映画を観て数字の概念が変わりました。愛おしそうな目をしながら数字について語る博士を見ていると数字に親近感が湧いてきます。
素数、虚数、友愛数、、、数字にはそれぞれストーリーがあり、それらを美しいと愛してやまない博士。変わり者だけど、子供に優しく愛情溢れる博士。ルートや主人公の私も博士に愛を持って接し、3人の間に絆が生まれる。
道ならぬ愛の関係にあった博士と義姉、結婚できない相手との子供を産んだ私とルート。どちらも外界に対して心の壁のようなものを作って生きてきたのかもしれません。しかし、この交流を通して固くなっていた心に風穴が開き、穏やかになっていく様子に温かな気持ちになりました。
この映画は、半分、数学の授業みたいだが、案外面白かった
1.寺尾聰は、1975年以降の記憶は、80分しか記憶出来ない博士
2.浅丘ルリ子(1940.7生:65歳)は、年取ったなあ、
石原裕次郎と共演時の印象が強く残ってるので、そう感じた
3.①11分の素数の話、 ②28分の友愛数の話、 ③35分の虚数の話、
④53分の完全数の話、 別名や理屈や発見者等
聞いてて、へえー勉強になるなあ、と思った
4.オイラーの公式の、「e=ネピア数」だけは、小生の頭では理解不能だった
大きな感動等は無いが、案外面白い映画だった
80分しかもたない記憶、そんなことってあるのだろうか? 登場人物た...
80分しかもたない記憶、そんなことってあるのだろうか?
登場人物たちの交流が暖かいが、大きな出来事や感動があるわけではない。そこがよいという意見も多々あるであろうが、お子ちゃま脳の私にはいささか物足りなかった。
吉岡秀隆先生の授業はなんとも魅力的。数字苦手な人はぜひご覧ください。好きになるかも(笑)
全50件中、1~20件目を表示