劇場公開日 1954年4月26日

「とうとう観た 「七人の侍」、たしかに面白かったです!」七人の侍 CBさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5とうとう観た 「七人の侍」、たしかに面白かったです!

2022年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

TVでも観たことがなく、これが自分史上ホントに初めての鑑賞だ。それもLIVE ZOUNDの迫力ある音響で。ありがとう、チネチッタ。百周年、おめでとうございます。200年まで頑張ってください!

スタッフ、キャストの手書きテロップに続き、「ひづめの音が、庶民(百姓)の恐怖だった頃・・」 という手書きのテロップで始まるオープニング。
さっそく描かれる、野武士たちに毎年収穫を蹂躙される農民たちの嘆き。しかし聞き取れない、何言ってるのか雰囲気だけで聞く。リアリティを出すために、当時の百姓はこんなしゃべり方だったことを忠実にトレースした結果だそうだが、できれば字幕がほしいぞ、というレベル。心して観てください。
あらすじは書くまでもないかもしれないが、そんな百姓が「侍を雇って野武士をやっつけてもらおう。白い飯をたらふく食える、という返礼しかないが、きっと何人かやってくれる侍もいるだろう」 という一縷の望みをかけて街に出る。前半は、集まるまで。ゆうに100分をそこに費やす。それだけ途方もない望みだということが観ているこちらにも痛感。後半は、集まった侍が百姓をしたがえて野武士たちと戦う、ひたすら戦う。

冒頭に書いた手書きテロップのとおり、後半は最初から最後まで、ずっと、大音量の蹄(ひづめ)の音を聞き続ける。それが今回チネチッタがLIVE ZOUND劇場で本作を上映してくれた狙いだろうし、100%満喫した。ありがとう、チネチッタ。

三船さん(敏郎)演じる菊千代。百姓なのに侍になりたくて侍の真似をしている男。彼がこの映画の狂言回し。ある時は百姓の苦悩を当事者側から伝えるともなく伝え、またある時は圧倒的強者に見える侍と圧倒的弱者に見える百姓をそういう風に切り分けない視点を提供してくる。そこらへんがこの映画の脚本のうまいところなんだろうなあ。菊千代、正直うるさいんだけど。
金でなく、かつ(落ち武者狩りの戦果を見せられるので)100%百姓に同情するわけでもなく、それでも彼らのために戦う男たち。う~む。ハードボイルド。そこに、なにも残らず、勝ったのはただ百姓たちばかりだったとしてもいいじゃないか、と思えてしまう俺でした。とうとう観た 「七人の侍」、たしか面白かったです!

おまけ1
うわ。本レビューはいつのまにか1,000レビューめだ。いい映画が1,000レビューめで、なんかよかった。

おまけ2
アンディ・ロビンソンさんのレビューが面白かった。この映画、もちろん名作と思うが、その歴史にはいろいろな経緯があったんだなあ。離散していたフィルムをつなぎあわせて作ったのが 207分の本編だとしたら、すばらしい本編にも 「編集の妙」 という点はないのかもしれないなと感じた。同時にいまは観られないらしい 「160分の 海外版、凱旋公開バージョン」 も観てみたいなあ。

おまけ3
とあるホームページで知ったが、なんと、「マルチカメラ方式を初めて採用した映画」 なんだね。それまではカメラ1台だったのか。お金って大切なんだな。そのホームページには 「その効果や迫力は想像を超えるものがあり」 とあるが、そうだろうね。自分たちも比較して観ることができたら、明らかにわかるだろうね。遠景とアップが切り替わるという今では当たり前のことも、シングルカメラじゃ2回撮らない限り実現できないんだものね。1954年ってそういう時代なんだね。(自分も、80年代のMTVを見て、いまとの違いに唖然とした経験からわかる気がする。80年代のMTVではカメラが動く(近づく)はごく少ないんだよね。これは今みたいにジングルが進化していないので、カメラを動かすにはレールが必要だったんだろうな、と想像してます)
そして同じホームページでみた 「みなが走る」 という点のすごさ。そうか、言われてみてわかったが、オートフォーカスじゃないんだ。走って動いたら、カメラは焦点をあわせ続けなければいけないんだね。
ちなみに上記で自分が参照したホームページは、「『七人の侍』 を100倍楽しもう」 です。

CB
CBさんのコメント
2023年4月29日

お褒めの言葉、ありがとうございます。へへ。俺も人のレビューや、映画の分析レポート読んでの受け売りですけどね。

CB
琥珀糖さんのコメント
2023年4月29日

コメントありがとうございます😊
興奮気味でペラペラとお喋りみたいなレビューで・・・
いつも丁寧に読んで下さって本当にありがとうございます。

CBさんのレビューを読ませていただいて、目から鱗でした。
百姓たちの話し声は当時の百姓の話し方を再現している。
・・・それで聞きづらかったんですね。
〉映画の後半は蹄の音が大音量で鳴り続ける・・・
DVDだとそこまで気が付きませんでした。
珍しくDVDを買ったので、もう一回観てみます。
〉マルチカメラを初めて採用した映画・・・
・・・昔の映画、それも黒白なのに、なんか迫力ありましたね。
たくさん教えて頂きました。
本当にありがとうございます。

琥珀糖