静かなる決闘のレビュー・感想・評価
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罪なき罰‼️
外国の野戦病院で手術中に梅毒をうつされた医者の藤崎。帰国後も恋人を避け、一生を病と戦いながら独身のまま生きていこうとする・・・‼️「酔いどれ天使」の闇市を闊歩するヤクザからうって変わって、インテリで倫理観の強い医師を見事に演じた三船さんがカッコいい‼️そんな三船さんが見習い看護婦に胸に秘めていた苦悩を吐露するシーンの涙ながらの素晴らしい演技‼️そして主人公が生きる希望を捨てず、貧しい患者たちの中へ飛び込んでいくハッピーエンドもホントに素晴らしい‼️ゴム手袋を脱いでメスをふるったため、患者の血液から梅毒に感染。エイズをはじめ、様々な感染症が蔓延する現代を見据えた、その先見性も黒澤さんはやっぱりスゴい‼️今作での仕事が16年後の超名作「赤ひげ」へと結実するんでしょうね‼️
梅毒
冒頭は野戦病院の手術シーン。降りしきる雨が戦争の重さを語り、三船の真摯な医師ぶりが見事な演出。なにしろ指先を見ていると縫合している様子が真に迫っているのだ。
復員してからは三條美紀の効果もあってかメロドラマ風。どうも途中が中だるみしているようでのめり込めない。彼女に感染させてはいけないと、相手の幸せだけを願う三船の演技は今までの野性味あふれたイメージと違う。結婚が決まったと聞いたとき、そして涙が出たと言われるシーン。震えがくるとの評判通り、いい!
【2008年ケーブルテレビで鑑賞】
耐える姿に漢を見た
『静かなる決闘』ってタイトルだけ見ると時代劇かなと思ったらまさかの…。「なんだこの話…」と思いながら見ていると、いつの間にか画面にガッチリと引きつけられていました。まず主演の三船敏郎が前作『酔いどれ天使』と真逆の役を演じている点が興味深い。病気にかかるところは2作共通なのですが、その対応が対照的。最期まで理性に従わずに生きた前回に対し、今回は伝染病にかかったが故にやりたくてもやれないことを前に理性を以って葛藤する役柄を演じています。
この姿が実にかっこいいんですよねー。目の前に想い人がいるのに伝染病が彼女と一緒になることを許さない。伝染病と打ち明ければ彼女は治るまで待つと言うだろうから「嫌いになった」と嘘をつかなくてはならない。辛い。実に辛い。その辛さが若き日の三船の表情から滲み出て、見てるこちらまで辛くなってくる。最期まで理性を以ってその辛さに耐得る主人公に真の漢を見た気持ちになりました。
主人公に拾われたやさぐれヤンキー女が彼の秘密を知って改心、立派なナースに成長する過程も見ていて嬉しくなるし、だからこそ彼女が主人公に想いを伝える(不思議な)告白シーンや彼のために怒るシーンは印象的です。
伝染病をモチーフにここまでの人間ドラマを構築する黒澤さんの手腕はすごい。そこまでの有名作でもなし、期待していなかっただけにお気に入りの黒澤作品になりました。確かに彼の中手間理性と本能、希望と絶望が静かに、だが確かに鎬を削っていた。
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