「【”在日朝鮮の壁なんて、猛スピードで飛び越えろ!”冒頭から疾走感が凄き、且つクドカンの脚本及び窪塚洋介の存在感が際立つ作品。柴咲コウの初々しい演技も、この作品に華を添えているのは間違いない。】」GO(2001) NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”在日朝鮮の壁なんて、猛スピードで飛び越えろ!”冒頭から疾走感が凄き、且つクドカンの脚本及び窪塚洋介の存在感が際立つ作品。柴咲コウの初々しい演技も、この作品に華を添えているのは間違いない。】
ー 窪塚洋介の代表作は「ピンポン」と、「沈黙ーザ・サイレンス」だと思っていたが、初主演作からここまで凄い作品に主演していたとは・・。不覚である。
更に言えば、柴咲コウ(不老の人である。)の初々しい演技にも引き込まれた作品である。-
■在日韓国人三世の高校生・杉原(窪塚洋介)は、喧嘩ばかりの日々を送っていた。
ある日彼は、同級生・加藤(で、親父は極道)(村田充)のバースデイパーティーで桜井(柴咲コウ)という少女に出会い恋に落ちる。
ふたりはデートを重ねて距離を詰めていくが、杉原が自分が在日であることを彼女に告白すると、桜井は父から教え込まれた”朝鮮人や、中国人の血は汚い…)という愚かしき思想が身体に沁みついてしまっており・・。
◆感想
・2001年公開作であるが、今観ても色褪せない面白さである。
その要因は多数あれど、在日朝鮮人問題を根底に置きつつ、それを重く描くのではなく、テンポよく魅せるクドカンの脚本と、行定勲の監督としてのスキルと、窪塚洋介を始めとした演者達が生き生きと画面で躍動している事であろう。
・冒頭の、スーパーチキンレースから疾走感が映画の軸となり、そのスピード感で杉原と桜井の恋も進行していく。
・杉原の両親を演じた、大竹しのぶ、山崎努が、ガッチリと脇を固め、若き窪塚の魅力を引き出しているのも良い。
・他にも、サブキャラとして登場するタワケを演じた山本太郎(まさか、メロリンQ(知ってる?)から俳優になり、国会議員になるとはなあ・・。)や、元秀を演じた新井浩文(バッチリである。)、正一を演じた細山田隆人やチョゴリ姿の水川あさみ、頼りない警官を演じた荻原聖人、タクシーの運転手を演じた大杉連など、豪華過ぎる演者が、更に脇を固めている。
<冒頭からの地下鉄との、スーパーチキンレースからのテンポ良き展開や、在日朝鮮人問題を絡めつつ、そこに重きを置かずに、一人の青年の恋や友情に悩みながらアイデンティティに目覚めていく窪塚洋介の演技が印象的な作品である。
勿論、柴咲コウの初々しい演技も、この作品に華を添えているのは間違いない。>