「最高傑作」ゴーストワールド 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
最高傑作
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主人公のイーニドは他人のはしゃいだり、わざとらしく振る舞っている様子を嘲るような性格の悪いタイプで、常に世間を批判的に見ている。しかしだからと言って自分に何ができるわけでも、褒められるような何かがあるわけでもなく、そのギャップに苦しんでいる。感情を押し殺したような無表情はそういった思いの表れなのだろう。
彼女はおしゃれでメガネや洋服に気合を入れ、奇抜な装いをする一方、可愛らしい顔の割にだらしない体型で、そういったところも面白くないと感じているのではないだろうか。
高校を卒業し、最後の休みが終わろうとしていた。現実と向き合わねばならないタイムリミットが迫ってくる。結局彼女は周囲をかき回し、何をすることも選ばず幽霊バスで旅立ってしまう。どこかの町で暮らしているのだろうか。それとも死んでしまったのだろうか。
イーニドは処女ではないようだったのだが、描いている精神は童貞そのもので、女版の童貞映画だ。童貞漫画家の大家と言われるオレがそう思うのだからそう認定したい。
孤独な心に寄り添うような素晴らしい映画だった。公開当時シネウィンドで見たのかDVDかビデオのレンタルで見たのか、記憶があやふやなのだが、何度か見ている。こうしてイオンシネマのシネパスで改めてスクリーンで見れて嬉しかった。
(追記)
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