「ジョニー・デップが素晴らしすぎた」シザーハンズ マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)
ジョニー・デップが素晴らしすぎた
丘の上の屋敷からエドワードを連れ帰るベグがおっとりしていて優しい。笑顔を絶やさないダイアン・ウィーストがぴったりだ。ベグの夫・ビルもよき理解者で、エドワードは人の優しい心に生まれて初めて触れることができる。それがまた悲劇の始まりでもあるのだが・・・。
箱庭のような住宅地で奇異な姿をしたエドワードはすぐ人目につく。彼を歓迎する者、彼をよく思わない者たちが混在する。
とりわけエドワードに色目を使う婦人ジョイス(キャシー・ベイカー)と、エドワードを悪魔呼ばわりする女・エズメラルダ(オーラン・ジョーンズ)が個性的だ。
いろいろなタイプの住民と接するうち、エドワードに喜怒哀楽の表情がつき始めるというところがポイント。若いジョニー・デップが新鮮だ。
ベグの娘・キム(ウィノナ・ライダー)への恋心と、キムのボーイフレンド・ジムによる嫉妬混じりの暴力がやがてエドワードとキムの悲恋物語へと発展する。
ただ、この作品、悲恋物語と受け止められるほど二人の情愛を描き切れてはいない。キムのエドワードに対する感情の推移が飛び飛びだ。それをカバーしたのが、のキムを一途に想う純粋な心がにじみ出ているエドワードだ。これもティム・バートンの演出というよりは、ジョニー・デップによる目の演技やちょっとした仕草が表現したというべきだろう。
やっと馴染んだ町も、ある事件を機に町を追われてしまう。
自分が居るべき場所を悟るエドワード。ジョニー・デップはハサミでその寂しさを語る。
そしてキムへの想いが、未来永劫、ハサミを動かさせ続ける原動力となる。
この作品のジョニー・デップは素晴らしすぎる。
ただ特異なキャラクターだっただけに、うまく後が続かずヒット作に恵まれない時期が長引いてしまったのも、この作品を見直すとなるほどと合点がいくのだ。