ファイナル・デスティネーション : 映画評論・批評
2001年1月5日更新
2001年1月20日よりみゆき座ほか全国東宝洋画系にてロードショー
ティーン・ホラーとあなどるなかれ!
またまたティーンズ・ホラーの登場かい、と油断していたのだが、これが思わぬ拾いもの。新鮮味のある「恐怖」とホラーならではの「お楽しみ」をきっちり用意していて、これがなかなかやってくれる。
感心したのは、恐怖をもたらす「敵」の設定。これが単なる連続殺人犯ではなく、悪意に満ちた運命=死神の意志なのだ。飛行機事故の予知夢を見た主人公の少年と、彼のおかげで死を免れた6人を、目に見えない「死」が執拗に追いかける。何しろ相手は運命なんだから、どこから襲ってくるのか、どんな些細な行動を「死」に結びつけようとしているのかわからない。伏線はどれだ? と、食い入るように見ることになる。ホラーであるからして相手はかなり残酷な手口を使ってくるのだが、観客はいつしか、この相手との頭脳ゲームに巻き込まれることになるってわけ。
しかも、このありえそうもない運命の力に、意外なほど説得力があるんだから。「我々は毎日、小さな決断を積み重ねている。それはすべて死神の筋書きだ」なんてせりふが生み出す「ひょっとして……」という怖さ。見終わった後はしばらく、自分の行動にやたらと用心深くなってしまいました (笑)。
(若林ゆり)