ファストフード・ファストウーマン : 映画評論・批評
2001年1月15日更新
2001年2月3日よりシネマライズほかにてロードショー
カフェから始まる小粋なハートフル・コメディ
とにかく(ちょっとフケ顔だが)ブロンドの長い髪、大きな瞳、細く長い手足、たわわな胸のアンナ・トムソンに目が釘づけなのだ。軽い軽いコメディで、ストーリーだって何のこともないし、感動がドォッと襲うこともない。が、アンナ・トムソンが登場するだけで、不思議にも映画に魔法がかかる!
彼女の、アモス・コレック監督との3度目のコラボレーション(前2作「Sue」「Fiona」は日本未公開)となるこの映画は、肌触りは「スモーク」のダイナー版だ。マンハッタンのどこにでもありそうなダイナーのウエイトレス、ベラ(トムソン)の どこか突拍子もない日常を軸に、市井の人々のためいき(哀感)をハートフルに描く。ベラにグチを聞いてもらうダイナーの常連客たち、新しい恋の相手となる子連れの売れない作家(今はしがないタクシー運転手)のブルノ、風呂上がりのぬくもりいっぱいのタオルをもらうアパートの下のホームレス。誰もがみな、おかしいことに、元気マンマン・になるのだから。彼女が出す一杯のコーヒーは元気の素!? はたまた恋の魔法の薬!?
「サムシング・ワイルド」「トゥルー・ロマンス」「許されざる者」(顔を斬られた酒場女) などで印象的な端役をやっていた彼女は、いつも“ぼくの映画”にいた女優であった。それだから、かなりひいき目ですけど。
(サトウムツオ)