劇場公開日 2004年3月27日

「運命を感じる稀有な映画」エレファント ジャパニーズ先住民さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5運命を感じる稀有な映画

2025年5月4日
iPhoneアプリから投稿

『進撃』のエレンのように、少年少女たちの他愛ない日常が営まれている場を沈黙で満たしたかったのだろう。その景色がひと目見たかったからクエスト気分で殺した。校舎外に人間は存在しないかのように、中にいた生徒達だけを。個々に対する憎しみはなく空間そのものを憎悪した。そこにたまたま人がいただけだ。

日本の校舎のように真っ直ぐな廊下に教室が接続している形式ではなく、広い平面でいろんな活動が行われている回遊式の校舎が方向感覚を狂わせる。さながら迷宮のようだ。平面図を用意するのも無理はない。カメラの独特な動きもそれを助長し、『バイオハザード』感というか狩りの場としての禍々しさが募っていく。

ジョンがケツを叩くおバカシーンが3回登場するが、それがひとつの結節点として異なった視点からプレイバック、オーバーラップされ、不意に実行犯の周到な準備も重なって垣間見える。ただし、別アングルから重曹的に物語るという形式ではない。

結局、最後の虐殺へ向けて、カメラが生徒を執拗に背後から追ったり、群れて中身が空っぽそうな生徒達を映していく。まるで、この運命以外あり得なかったかのように。

ジャパニーズ先住民
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