エレニの旅のレビュー・感想・評価
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いちいち美しい、そんな映画
全編水の映像が美しく村が水没したシーンなど
どうやって撮ったのか聞きたくなる
途中の馬と水面が写ってるシーン、浸水した村をボートで漕ぐシーンなど
美しいシーンに溢れている
物語は第二次世界大戦とそれに振り回された人生の悲哀を描いてる
とてもずっしりと長くて重いそんな映画だった
途中に出てきた音楽家達に感情移入してしまい
芸術家はやはり自由の象徴、なんて思った
やはり伸び伸びとした空気の中でこそ
本物の良いものが育つんじゃないかとそんな事を思い
現代の状況を少し憂う感じ
タルコフスキーやアンゲロプロスみたいな
芸術肌の監督さんがまた出てきて欲しいなぁ
残念ながら彼の"使命"はもう観られない
1919年ロシア革命で難民となった一行の前には海があり先には進めない。この海の先には[自由の国アメリカ]に続いているがどうにもならないのだ。
一行はそこに村を作り、長[おさ]の家や、横に佇む樹木等はエレニが帰って来る時にその全貌が見えるが後に…。
全編を圧倒的な映像美で包み込みながら、これまで何度も出現して来たテオ・アンゲロプロス映画の象徴的な映画記号が沢山出て来るので、この映画だけを観た人にはよく分からないでしよう。
フアンには[またか!]…とはならないんですよ少なくとも私は。
こんな使い方がまだあったかと本当にビックリ!!
そして後半はファシズムの台頭と第二次世界大戦への参戦からギリシヤ内線に至る、[戦争に翻弄され続けたギリシヤ国民の怒りと嘆き]を一人の女性を通して余すところなくフイルムに叩きつける。そこには今までのアンゲロプロス作品にあった【かすかな希望と光】はこの作品では欠けらも観られない。
通常巨匠と言われる監督には遺作に近づくにつれて作風が優しくなったり角が取れたりするのが普通なのだか、アンゲロプロスの場合は若い頃の[政治闘争]が[戦争反対]とゆう単純明快な叫びになってきた様でインタビューにはこう答えている。
〜私にとって映画は仕事ではなく使命です〜
感服しましたm(__)m
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