エレニの旅のレビュー・感想・評価
全6件を表示
いちいち美しい、そんな映画
全編水の映像が美しく村が水没したシーンなど
どうやって撮ったのか聞きたくなる
途中の馬と水面が写ってるシーン、浸水した村をボートで漕ぐシーンなど
美しいシーンに溢れている
物語は第二次世界大戦とそれに振り回された人生の悲哀を描いてる
とてもずっしりと長くて重いそんな映画だった
途中に出てきた音楽家達に感情移入してしまい
芸術家はやはり自由の象徴、なんて思った
やはり伸び伸びとした空気の中でこそ
本物の良いものが育つんじゃないかとそんな事を思い
現代の状況を少し憂う感じ
タルコフスキーやアンゲロプロスみたいな
芸術肌の監督さんがまた出てきて欲しいなぁ
映像は素晴らしいが...
この作品で「旅芸人~」以降の作品を観終わった、映像は随一の美しさで水没する村のシーンなど度胆を抜かれるのだが、緩急なくひたすら単調に悲劇が繰り返しされるのと主人公のエレニ役も泣くばかりで、まぁ男性が主人公でないと私がダメなだけかもしれませんが、人間味を感じられずもう少しうまく出来なかったのかいなと思った。映像的には劣る「...帰郷」の方が、まだ作品としては好きです(主人公が男だから?)。
砲弾1発はいくらですか?命ひとつはいくらですか?
冒頭から難民の集団映像、劇場を住居とする難民、カタリーナクラスの大雨で水没してしまう村。そして海岸で大量のシーツを干し、銃弾に倒れる男・・・衝撃的なほど悲しくも美しい映像によって3時間弱の映画が短くさえ感じられた。
この映画のために、『シテール島のへの船出』、『ユリシーズの瞳』、『永遠と一日』の3本でテオ・アンゲロプロス監督を予習しました。アンゲロプロスの代表作『旅芸人の記録』さえ見てないのに、偉そうなことは何も言えないのですが、上記3本とは明かに違いがありました。彼独特のフィルム長回しは健在ですが、観客に行間を埋めさせる技法とでもいうのでしょうか、静かな展開が続くので、余計なカットは必要ないとバランス優先で作ってあると思われるのです。例えば、ニコスがアレクシスをバンドに誘う台詞、空爆(集落が焼け焦げたシーン)、不当逮捕の原因、アレクシスと恋に落ち双子を出産するエピソード等々は存在しません。すべて観客に想像させるのです。
そして、人々の歩調の相違。上記3本はいずれも老人が主人公なので、歩く速度が微妙な不自然さを保っているのに対し、この『エレニの旅』では若者が主体となるので通常スピードなのです。言いかえれば、上記3本はロメロゾンビ、この映画は走るゾンビ。そのくらいの差があります。
もう一つの相違点は回想シーンや幻想的なシーンの排除。むしろ戦争の悲惨さを現実問題として提起するため、現実描写に力を注いだのではないでしょうか。公式サイトで知ったのですが、ギリシア神話をモチーフにした壮大なドラマの予定を3部作として分割したこと。これが今までの彼のスタイルを若干変化させたような気がするのです。また、水の引いた湖に実際の村を建造するという大掛かりなセッティング。迫力ありすぎです。
エレニから見たギリシア現代史のはずだが、実際の視点は恋人アレクシス中心。アコーディオンの腕を買われて音楽家としてアメリカに旅立つまでが印象的です。そしてヨーロッパ全土に広がるファシズムによって、一般庶民が戦争の犠牲となる姿。戦火の中でも音楽を愛し、海岸でアレクシスの作った曲ををバンド仲間が演奏するシーンには涙いたしました。
終盤の二人の息子が兵士として敵味方に分かれてしまうところなどはちょっと急ぎ足でした。もっと描いてあったら最高の映画になったと思います。反戦映画にはしたくなかったのでしょうか?ちょっと残念。
残念ながら彼の"使命"はもう観られない
1919年ロシア革命で難民となった一行の前には海があり先には進めない。この海の先には[自由の国アメリカ]に続いているがどうにもならないのだ。
一行はそこに村を作り、長[おさ]の家や、横に佇む樹木等はエレニが帰って来る時にその全貌が見えるが後に…。
全編を圧倒的な映像美で包み込みながら、これまで何度も出現して来たテオ・アンゲロプロス映画の象徴的な映画記号が沢山出て来るので、この映画だけを観た人にはよく分からないでしよう。
フアンには[またか!]…とはならないんですよ少なくとも私は。
こんな使い方がまだあったかと本当にビックリ!!
そして後半はファシズムの台頭と第二次世界大戦への参戦からギリシヤ内線に至る、[戦争に翻弄され続けたギリシヤ国民の怒りと嘆き]を一人の女性を通して余すところなくフイルムに叩きつける。そこには今までのアンゲロプロス作品にあった【かすかな希望と光】はこの作品では欠けらも観られない。
通常巨匠と言われる監督には遺作に近づくにつれて作風が優しくなったり角が取れたりするのが普通なのだか、アンゲロプロスの場合は若い頃の[政治闘争]が[戦争反対]とゆう単純明快な叫びになってきた様でインタビューにはこう答えている。
〜私にとって映画は仕事ではなく使命です〜
感服しましたm(__)m
絵画的作品の最高傑作
どのシーンを切り取っても絵画的で美しい風景。
白いシーツの洗濯物のシーンや運河をいかだに乗って
移動していくシーンは印象的。
作品内容は難しい歴史ドラマですが、
何度観ても飽きが来ない名作です。
全6件を表示