「グロい!キモい!悲しい!」ザ・フライ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
グロい!キモい!悲しい!
化学実験によりハエ男へと変貌してしまった科学者の悲哀を描いたホラー映画。
監督/脚本は『スキャナーズ』『ヴィデオドローム』の、巨匠デヴィッド・クローネンバーグ。
また、産婦人科医役でクローネンバーグ監督本人が出演している。
主人公である天才科学者、セス・ブランドルを演じるのは『アニー・ホール』『ライトスタッフ』のジェフ・ゴールドブラム。
第59回 アカデミー賞において、メイクアップ賞を受賞!
ホラー映画界のレジェンド、クローネンバーグが手掛けたB級感漂うクリーチャー・ホラー。
てっきり「怪人ハエ男が街を恐怖のどん底に陥れる」という典型的なジャンル映画かと思っていました。
しかし、この作品が重きを置くのは、怪物へと変貌していく科学者の恐怖と狂気、そして彼を愛する雑誌記者の苦悩と絶望であり、ホラーというよりはヒューマンドラマ映画という趣がある作品のようにおもいます。
アカデミー賞を受賞したハエ男の特殊メイクは今の時代でも充分通用するキモさとリアリティを兼ね備えており、作品に対する恐怖感を一層強いものにしています。
しかし、変身過程の姿はどうみてもハエには見えないブヨブヨした醜男。まぁ怖キモいから良いんだけど…。
すぐれた特殊メイク&考えさせられるテーマを併せ持った、ただのB級ホラーではない作品だとは思いますが、まぁ面白くはないかな…。
序盤の執拗に描かれるラブシーンには辟易。あんなにいるか?そもそもどこでヒロインが恋心を抱いたのかもよくわからん。
とにかくハエ男に変身するまでがまどろっこしくて退屈です。
変身した後もクリーチャーのアクションがあるわけではなく、ハエ男とヒロインの苦悩が描かれるだけなので退屈。
せっかくスパイダーマンのようにハエのパワーを手に入れたんだから、もっとアクションを見せてくれればいいのに。
この映画で一番驚いたのは、ヒロインの元恋人で、ストーカーっぽい編集長。てっきり彼が主人公への嫉妬心からトラブルを引き起こすのかと思いきや、後半は普通にいい人。というかヒーローになります。
お前が倒すんかい!という驚きがすごかった。結局ヒロインとも元鞘っぽいし、色々と美味しいキャラ。
怪物の頭をショットガンでぶっ飛ばして即エンドロール。この流れは往年の香港カンフー・ムービーのような潔さがあり良かったです(笑)
怪物が大暴れするようなバカっぽい映画だと思っていたため、かなり重めの作品で面食らってしまいました。個人的には好みではありませんが、グロ系ホラーが好きな方には受ける…かも?😅