「北野映画史上、もっとも痛い映画。」Dolls(ドールズ) sigeさんの映画レビュー(感想・評価)
北野映画史上、もっとも痛い映画。
“痛い”とは決してハズしてしまったという意味ではない。
とても心が痛くなる映画です。
登場人物三組出てきますが、
やはり菅野美穂&西島秀俊が映画の核を成しています。
他の二組はどうも尺がもたなかったため
付け加えたかのような印象が・・・。
かと言って映画全体の評価を落とすほど余計とは感じなかったです。
過去の北野作品は大抵
“ビートたけし”が虚しさを抱え、
“死に場所を求めてさまよう”という図式がありました・・・。
今回もひたすら人生に虚しさを感じ、さまよっていますが、
今回なぜ最も心が痛いのかというと
二人が主体的に何もしようとする気すら起きずに
延々とさまよっていることです。
死に場所を求める、その目的すらなく
失ったあの頃が断片的に蘇り・・・泣く。
北野監督は1年後、「座頭市」を撮りますが
「座頭市」という企画が無ければ
北野武の陽の部分が間違いなく崩壊していたのではないかと思います。
それぐらいのパワーがある作品です。
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