劇場公開日 1997年5月17日

「【”たった一人のクライアントを大切にする・・。”アメリカのスポーツ・エージェントの在り方に疑問を持った男が成し遂げた事を描く。レネー・ゼルウィガーがスターダムの第一歩を踏み出した作品でもある。】」ザ・エージェント NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【”たった一人のクライアントを大切にする・・。”アメリカのスポーツ・エージェントの在り方に疑問を持った男が成し遂げた事を描く。レネー・ゼルウィガーがスターダムの第一歩を踏み出した作品でもある。】

2022年8月25日
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鑑賞方法:VOD

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■やり手のスポーツ・エージェント、ジェリー・マクガイア(トム・クルーズ)。
 所属するエージェントオフィスの利益ばかりを追求するやり方に疑問を感じた彼は、提案書を提出する。
 そこに書かれていた事は、”皆が考えていても、口にしない事”だった。
 が、その提案書が原因で会社をクビに。
 だが、彼の理想に感銘を受けた会計係のドロシー(レネー・ゼルウィガー)を連れて独立するが、大手の壁は厚く…。
 ジェリーは唯一残ったクライアントのアメフト選手で、口は立つが多くのクライアントからは軽く見られていた、ワイドレシーバーのロッド(キューバ・グッディング・Jr)と親交を深め、彼のスポーツ界での“価値”を高めようと努力するが・・。

◆感想

・キャメロン・クロウ監督が書き下ろした、アメリカプロスポーツ界の、高騰する年棒問題を逆手に取った脚本が見事である。
ー 今作は、今から25年以上も前の作品であるが、高騰する年棒問題の基づく、選手のストライキ、選手の給料が払えず身売りする組織の在り方は今でも変わっていない。
  キャメロン・クロウ監督の先見の明が光る。-

・だが、今作はその問題を、重くは描かない。
理想を持つジェリーと、彼の思想に共鳴するドロシーが、恋愛関係になって行くシーンも、ドロシーの息子レイの存在にスポットを当てる事で、悲壮感なく軽やかに描いている。

・キューバ・グッディング・Jrが演じたロッドの描き方も上手い。一見、軽い人物に見えつつ、アメリカンフットボール界で、軽く見られている男を、コミカルにだが、家族を愛する男として演じている。
ー 彼が、大一番の試合で魅せたワイドレシーバーとしてのファインプレーシーン。だが、ボールキャッチ後に首から落ち、動かなくなる姿を心配そうにTVで観ているロッドの妻を始めとした家族の姿。そして、”たった一人のクライアント”の試合故に、その場にいたジェリー。
  ロッドは、脳震盪から目を覚まし、元気そうにフィールドを万雷の拍手の中、駆け回る。ジェリーからロッドの妻に入る電話・・。-

<ジェリーと、ドロシーの恋愛関係の変遷の描き方も上手く、キャメロン・クロウ監督の手腕が光る作品。
 レネー・ゼルウィガーが今作後、浮き沈みを経ながらも、漸く20数年後オスカーを手にした事や、トム・クルーズが30年以上、ハリウッドのトップに君臨している事実は、矢張り凄いと思ってしまうのである。
 キャメロン・クロウ監督作品は、暫く新作が公開されていないが今作の様な作品を観ると、矢張り新作を期待してしまうのである。>

NOBU