劇場公開日 2018年11月24日

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「主人公も観客も同時体験する奇妙かつ壮大な3時間12分」山中傳奇 regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5主人公も観客も同時体験する奇妙かつ壮大な3時間12分

2018年11月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

単純

興奮

知的

上映時間3時間12分という長尺にまずビビるも、いざ観てみたら『ロード・オブ・ザ・リング』よりも観やすく分かりやすかった。
大まかに時間ごとに区分けすれば、開始から1時間目は主人公が目的地へ行くまでのロード・ムービー。
2時間目からは主人公を取り巻く奇妙な出来事が続くミステリーで、そして残り1時間12分が全ての謎解きも付随したアクション…という流れ。
バトルといってもいわゆる功夫や剣術ではなく、「音」で闘う斬新さ。
『カンフーハッスル』では音の攻撃をVFXで可視化していたが、こちらは本当に音「だけ」で闘う。

妖艶なシュー・フォンと可憐なシルビア・チャンという対比もさることながら、後半で両者笛の音色が奏でる際に差し込まれる映像も、片や獲物を狙うキツツキと、片や優雅に空を舞うカモメというあたりも徹底している。
主人公が終始キョドっていて、あまり成長が感じられないままで終わるが、そうした描写も込みで含みを持たせるラストも、いかにも寓話的。

今回追加されたというシーンは、確かにカットしても良いのでは?と感じるのも事実だが、この冗長なクドさも込みで、観客は主人公同様に奇妙な体験ができるのだ。

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