「自分の殻が破れないんだ」チョコレート きりんさんの映画レビュー(感想・評価)
自分の殻が破れないんだ
レビュー数が少なくて残念、
もったいない。
父、息子、祖父。男だけの家で、監視と歪みの抑圧に苦しむ彼ら。職場でも、そして帰宅をしても。
破綻と再生の物語。
ハンクは黒人差別を父親から徹底的に仕込まれていたが、
その父親による母への蔑視・愚弄が耐えられなかったのだ。
そこが変革の引き金になっている。
「お前のかーちゃんデーベソ」は、今も昔も、禁句の最たるものだ。
(離別・死別した母親を子供の前で落としちゃあ駄目なんだね)。
父親は息子を失い、母親も息子を失う。その絶望の破れの中から生まれた新生の寓話だと思う。
今の仕事が無理なら辞めてもいいのだ。
無理だと思い込んでいた固定概念でも、それを捨ててまさかの新しい生き方に飛び込んでみていいのだ。
・・そのことを、ハンクは自分自身に呟く。
息子にそう言ってやれなかったことを悔いつつ。
ハル・ベリーはアカデミー賞受賞。
最後の、一緒にアイスクリームを食べるシーンの素晴らしいこと。
彼女の心の動き、
音楽で言うなら“コードが変わる”、GからE9へ?
=表情の僅かに移ろい変わる、あの数秒間が、まったくの無言のシーンでありながら彼女の内奥を見せてくれていて、
あれはオスカーは当然だろうと思った。
ハンクが望むように、あの二人にはうまくいってほしい。
コメントする
NOBUさんのコメント
2023年9月18日
きりんさん。
今晩は。
いつも、有難うございます。
今作品は本日、仕事から帰った後に鑑賞したのですが、とても良かった作品でした。響きました。
余り知らなかった作品でも、良作は沢山有りますね。では。返信は、不要ですよ。