「登場人物の心情を想像しながら見るのが面白い」キャスト・アウェイ マンダさんの映画レビュー(感想・評価)
登場人物の心情を想像しながら見るのが面白い
最初に主人公が登場した際、時間の重要性を説く感じがいかにも現代人らしさを強調しているように見えました。
飛行機が不時着し海に飛ばされた主人公はゴムボートに乗るが、夜の嵐は暗い中波も高く周りがどうなっているのか観ている側もよくわからない描写は、「実際に漂流したらこんな感じで周りが何も見えない中波に打たれるんだろうな」なんて思いました。
無事?無人島に流れ着いて間もない頃、漂着していた運搬物を拾い集めている主人公の仕事に対する真面目さだったり、絶望的な状況に置かれていることを理解していない呑気さに妙なリアリティを感じました。
次第に飢えていく主人公は、火を起こそうとするが失敗し手を怪我してしまう。その後、何を思ったか主人公が漂着した荷物のバレーボールに手から流れた血で顔の絵を描きます。バレーボールに描かれた顔(名前はウィルソン)に話しかけながら火起こしを再開すると見事成功しました。そのシーンを見て、彼は自身と向き合った結果上手く行ったのだなと、ただそれって意外と難しいよなぁと。
火起こしに成功し、ウィルソンという友(自分の内面?)を手に入れた主人公はなんと4年も無人島で生き残り、さらにはなんだかんで救出されます。救出されたは良いが、恋人は別の男と結婚していて子供もいました。そんな状況でもまだ愛していると恋人から告白を受けるが、主人公は彼女を夫と子供の元へ送り届けます。おそらく主人公は既に彼女が築いていた家庭を守るために身を引いたのだと思いますが、それができる強い心だったり彼女への愛を感じた良いシーンでした。その後、主人公は友人に彼女を失ったことを嘆きながらそれでも息をする(生きていく)と告げます。
ラストは遭難前に時間と戦っていた主人公とは打って変わって、道端に車を止め地図を見ながらどこに行くのかを考えるシーンで終わります。人生は気の持ちようで多くの選択肢が生まれると言っているような終わり方でした。
登場人物の心情や性格をセリフではなく演者の表情や立ち振る舞いから感じるシーンは見ていて気持ちよかったです。無人島にいる間は環境音のみのシーンが多く、要所で流れるBGMの使い方が上手いなぁと。