「孤立と孤独・・」キャスト・アウェイ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
孤立と孤独・・
無人島サバイバルものと聞いていたので大体の想像はつくし、最近ではTVでも無人島バラエティが流行っているので食傷気味、強いて観る気も起らず忘れていた映画。ところがスタッフをよくみると凄い面子なので急に興味がわきました。
映画化の発端は「アポロ13」の撮影中に脚本家のウィリアム・ブロイルズ・Jr.にトム・ハンクスがロビンソン・クルーソーの現代版を演りたいと持ちかけけたことらしい。トムは本気らしく「フォレスト・ガンプ」のロバート・ゼメキス監督まで巻き込んで企画を練ったと言う。
トムの拘りの心境は何だったのだろうか、デニーロのような役者馬鹿ならほぼ独り舞台の無人島ものは演技力の見せ所と熱くなっても不思議はないのだが・・、ところがトムもリアリティを出す為に撮影を1年中断して23㎏体重を落としやつれた髭ぼうぼうの風貌を作ったというし、撮影中の傷の感染症で死にかけたというから役者魂は負けていませんね。
サバイバルシーンについては脚本のウィリアムが実際に無人島体験をして編み出したらしい、もちろんトムの奮闘ぶりも見どころなのだがトムにしてみれば見せたかったのは一人ぼっちの心の揺れ、心象描写の方なのだろう。食の目途が立つと孤独との戦いが始まる、妄想力もサバイバルには欠かせないものなのですね。バレーボールに顔を書いて名前まで付けて孤独を紛らわすのは痛々しいですね。
クジラの出現には驚きましたのでお友達のボールを追うシーンではジョーズが出てくるのではと冷や冷やしましたがゼメキス監督のプライドが許さなかったのでしょう、何も出ませんでした。
ゼメキス監督の映画では幸せそうな女性を観た印象が無いので予想はしていましたが案の定、辛い展開。島にいた時は写真しか無かったのに、ずっと恋人のケリーと一緒だったと感じたと言うトム、無人島での孤立と不条理な現実の孤独の対比は実に深い、この辺はゼメキス監督の真骨頂なのかもしれません。天使の羽が描かれた荷物だけは開封せず荷主に届けるくだりは何だったのでしょう、「フォレスト・ガンプ」でも羽が舞うシーンが意味深だったのでトムとゼメキス監督タッグ作品と言うアイデンティだったのかもしれませんね。