さらば、わが愛 覇王別姫のレビュー・感想・評価
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レスリー・チャンの美しさと儚さが時代に蘇る
激動の日中戦争前から文化大革命後の50年に及ぶ中国の歴史と共に、蝶衣(小豆)・小樓(石頭)・菊仙の3人の男女の愛憎劇が見事に絡み合って、あっという間の3時間だった。
文化大革命が終わった18年後に作られた作品とは思えないほど、中国の歴史を変に脚色せずに描いているところに驚いた。(あちらは色々と厳しいと思っていたので…)
日中戦争あたりでの日本の描き方も大袈裟に悪く描くこともなく、すごく平等な目線で描かれた作品だからこそ、変な作り手の思想や雑念が入らず、最後まで集中して見ることができたのはすごく良かった。
それにしても最初から最後まで、蝶衣のあの儚さといったらなんなのだろう。
幸薄いオーラが始終まとわりついていて、幸せになれる気が1ミリもしない。でも、だからこそ、彼の圧倒的な美しさが際立つ。何度も劇中でアップになる彼の表情に、眼差しに見惚れてしまう。魅了されてしまう。あー幸せなって欲しい!と思う。でも彼はきっと幸せになれないだろうなと思いながら見る。
彼そのものである蝶衣を取ったら何も残らないし、彼の信念や小樓を想う愛を無くさせてしまったら、きっとそれはもう彼じゃなくなるからだ。
だから、最後は正直ホッとしてしまった。
やっと彼は役から解放され、小豆になれたのかなと思うと幸せすら感じた。
権力者が変わるだけで、思想やモノの価値がコロコロと簡単に変わってしまう。そんな世の中では、蝶衣のように一貫して時代に沿わずに自分の生き方を貫く人は、とても生きづらく、時代によって浮いたり沈んだりと、苦しい人生だったと思う。
逆に小樓のような簡単に相手に合わせて主張を変えてしまう人の方が、世渡り上手で生き残るのかもしれないなと思った。人間としては全く尊敬できないし、何でこんな奴をそこまで蝶衣は愛するの?と不思議で仕方なかったけど…。
最後に、令和の時代にスクリーンで4K版で見ることができることに、現代の技術の進歩に感謝したい。
おかげで、京劇の煌びやかな美しさ色彩の衣装や化粧、レスリー・チャンの美しさと儚さが時代を超えて蘇るようだった。
流転の只中で、変わらぬ愛を
1920年代から1970年代の中国を舞台に、京劇の古典「覇王別姫」を演じる程蝶衣(チョン・ティエイー)と段小樓(トァン・シャオロウ)の愛憎を描いた作品。
彼らの愛憎は、必然的に当時の政治状況とも絡み合い、何度も流転する様は諸行無常の響きあり。
程は遊郭で働く母に身売りされ、幼年期/幼少期は京劇の芸を習得するために過酷な修行をする。段も似た境遇だと思うが、二人の修行は師匠らの体罰を含む虐待でしかない。しかし彼らは必死に芸に励むことで「覇王別姫」の大役をつかむのである。彼らが演じる「覇王別姫」は凄い。いや京劇自体が凄い。絢爛な衣装とメイクで浮世離れしているが、セリフとしぐさと音楽と舞台装置で確かな世界観を築いている。まさに「唱・念・做・打」の表現。カットのテンポのよさもあって、スクリーンに釘付けにされる。
1920年代から1970年代の中国を舞台にすることは、パンフレットに記載される藤井省三のコラムに則れば、「軍閥政府期」「統治期」「盧溝橋事件後の日中戦争期」「戦後の国民党統治期」「中華人民共和国・建国」「文化大革命」の時代を描くことでもある。時代によって統治権力は変わり、戦争や紛争が起き、彼らの人生や京劇のあり方も変わる。
段は日中戦争期、日本軍の軍人の命令で彼らの目の前で演舞をする。それは彼が生き延びるための苦渋の選択であるが、戦争が終わり国民党統治期になると、逮捕の対象となり裁判で糾弾されることになる。このように時代の変遷によって、統治権力が変わると称賛から糾弾の対象になるのはあまりにも不条理だ。それは京劇にも言える。京劇は中国の古典芸能であるはずなのに、「文化大革命」では労働者のための芸術ではないと迫害の対象となる。さらに彼らが保身のために、彼ら同士が非難を言い合うことに転じるのだから尚更、理不尽だ。
彼らが悲劇的な結末に向かうまでを辿ってみる。
程と段は舞台上でのパートナーである。しかし段は遊郭の女・菊仙(チューシェン)を妻にすることで、綺麗な三角関係になっていく。程と段に関係は儚い。彼らは舞台の関係でしかないと言えばそうではあるが、幼年期や幼少期は生活を共にしたほど私的な関係
であった。だから程は舞台の延長として生活でも親密な関係を求めるが、段は大人になって舞台と生活を切り離す。さらに菊仙の関係の介入は、舞台上でしか男女の関係を演じられない程とは対称に、法的にも身体的にも男女の関係になれる「女」の優位を際立たせる。
三人の関係は、師匠や袁世凱、軍人、大衆との関係とも絡み合っていく。それにより、各人の思惑や誰が権力を把持しているかによって愛憎が流転することも見事に描くのである。
印象的なのは程と段の弟子の存在だ。彼は程や段と1世代ぐらい年が違うが、同様に幼年期は厳しい修行に励む。しかし大人になって程や段の端役で演じていると反発していく。程や段は自分を主役にするつもりはないと言ったり、厳しい修行は時代遅れと言ったり。両者の言い分は理解できるのだが、実際に彼が程の役を奪うことは驚きだった。彼に能力がないとは言わないが、それ以上に時代の政治状況が運命を分けることを痛感した。さらに彼は「文化大革命」の時、共産党に加担し程や段を糾弾するのである。権力への迎合。世代間で意志を引き継ぐのは困難なのである。
彼らは「覇王別姫」と同様に悲劇的な結末を迎える。それを回避する手立てはなかったのか。時代をひとりの個人が変えるのは難しい。しかし時代をつくるのもひとりの個人たちであるのだから、京劇としての「覇王別姫」にある古典的な本質を見据えて懸命に生きていくしかないのではないだろうか。愛憎は流転してしまう。政治もまた流転してしまう。しかしその流転の只中で、変わらない「愛」を私は迎えたい。
レスリー・チャンの全ての仕草に魅了される172分
今回の4K版には、公開30周年、レスリー・チャン没後20年という副題が付いている。それは実に理に適っていて、時代に翻弄されても、演じることへの情熱と、最愛の相方に対する変わらぬ思いを体全体、目線、仕草、台詞、笑顔、憂い、涙で表現するチャンには、改めて魅了される。30年前の公開時、自分はいったい何を見ていたのか?という気持ちになるほどだ。それだけ、中国の激動期を生き抜き、散っていく京劇俳優の蝶衣を演じるチャンの、魂を投入したのような熱演には、独特の美しさと儚さと、凄みがあるのだ。
蝶衣と相方、小楼を通して描く、日中戦争から文化革命へと流れていく中国のリアルな現代史には、文化革命当時に多感な少年時代を過ごした監督、チェン・カイコー自身の体験が投影されているとか。そんな監督の創作意欲を全て映像に結実させるには、172分の上映時間は短いという意見もある。しかし、改めて見てみると、展開はスピーディで、かと言って短すぎるとも、端折っているとも感じさせない。これは、演出と演技に加えて、編集のペイ・シャオナンが的確な仕事をしているからだと思う。
中国でアートシネマが自由に作れていた時代を代表するチェン・カイコー渾身の歴史絵巻は、映画の尺についても改めて考えさせられる傑作だ。
映画的な迫力と美しさに圧倒される傑作
京劇の古典「覇王別姫」を演じる2人の京劇役者の愛憎と人生を、国民党政権下の1925年から、文化大革命時代を経た1970年代末までの約50年にわたる中国の激動の歴史とともに壮大なスケールと映像美、音楽で描いた一大叙事詩です。
遊女である母に捨てられ、京劇の養成所に入れられた少年・小豆子が、厳しく過酷な稽古に耐えかねて逃げ出した町中で、初めて本物の京劇を目撃するシーンの映画的な迫力と興奮に、まず鳥肌が立つことでしょう。また、スターとなった主人公の2人が一転、文化大革命時に反革命分子として大衆の前で糾弾されるシーンは圧巻。実の父親を裏切って糾弾した苦い体験を持つカイコー監督自身の思いも込められており、その不条理な描写に圧倒されます。
そして今回の4K公開で最大の見どころは、やはり主演のレスリー・チャンの美しさです。小豆子が成人し、姫を演じる女形となった程蝶衣。覇王を演じる段小樓へ秘かな思いを寄せる程蝶衣をレスリー・チャンが、狂おしいほどの妖艶さと儚さで演じています。
時代背景をよく知ってから見るべきか
中国の歴史について、あまり詳しくないまま(学校の授業で得た知識レベル)鑑賞。知っておけばもっと面白く観れたと思う。
レスリー・チャンが女性と見まごうばかりに美しい。
小説版と大きく違うようで、小樓があまりにも屑すぎた。もう蝶衣が不憫すぎて不憫すぎて…こっちまで苦しくなってしまう。愛が強すぎたか。
ラスト、あくまでも虞姫であり続けた蝶衣。辛い人生だった分、幸せになってほしかった。
「国宝」がらみで見てみました
陳監督は、以前北京空港の出国手続きで、すぐ前に並んでいて、ビックリしたことがあります。「国宝」の李監督が、この映画の影響を受けたという話を聞いたので、見てみました。有名な作品ですが、見るのは初めて。
「国宝」の方は、基本的に自分たちの都合や問題でいろいろ振り回されることになりますが、こちらは、自分たちの問題だけでなく、社会情勢という自分たちではどうしようもないことに振り回されることがせつないですね。1930年代から70年代まで、中国の人達が巻き込まれたことが、かなりリアルに描かれており、東アジアの近代史を知るのにも役立てると思います。それがゆえに、今回のバージョンは現地では上映できないでしょうね。袁四卿役の葛優主演の「活きる」と合わせてみると、当時のことがよく分かります。
「国宝」でも出演者の女形ぶりが話題になっていますが、レスリー・チャンの女形は、それ以上にキレイでしたね。
京劇のセリフの、男と女を間違えるということが何度か出てきますが、本来男なのに女を演じるということ、本来男なのに男に求められること等、程蝶衣という人が、性別を超えているといるということを表しているんだと思いました。
人生に指針を与えてくれました
映画が好きです。
でも繰り返し観ている映画は多くありません。
この映画は、数少ない何度も観ている映画の一つです。
この映画を観ようと思ったきっかけは、高校生だった当時、Twitterでフォローしていた人のリツイートでした。
リツイートされたそれには、高橋一生がこの映画の蝶衣を演じているレスリー・チャンのような役者になりたいと書かれていました。
高橋一生のファンでも無く、当時の私はレスリー・チャンも知りませんでした。
しかし、なぜかそのツイートに惹かれたのでした。
惹かれるまま、こちらの映画を鑑賞しました。
実は結末を知った状態で最後まで観たのですが、ネタバレを知っているかどうかは、この作品の出来栄えには関係ないと私は感じました。
1度目に観た時はただ驚いてしまって、この映画の深みなどを分かってはいませんでした。
でも、自分が強烈に惹かれたことは分かりました。
初めて観たのが高3の終わり頃、大学進学を機に地元から離れる時期だったので、かなり感受性の強い・感性が鋭いこともあったのか、心を持っていかれました。
この映画を好きになり、関連する本を調べ、四方田犬彦がアジア映画について書いた本を読みました。
その本に載っている映画は観たことがないものの方が多かったけど、ホモソーシャルについて初めて知ることができ、こちらの本も人生に指針を与えてくれたと思います。
さまざまな映画を取り上げた中で、この作品について書かれた論文は、今でも心に残っています。
この論文では、蝶衣は虞姫という役を生かして・通じて、小楼を愛していたという記述がありました。
この映画が好き過ぎて、本だけでなくいろいろな方のブログも読んでいたのですが、「男だけど好きになっていいですか」ということを言いたいのである、とまとめていたブログもあり、その記述も印象的です。
蝶衣の性自認は男性だったであろうことが、彼の気持ちを私にきついほどに想像させ、かつ私が彼を好きでない要因だと思っています。
私は菊仙が好きです。
性格や人物像もそうだし、コン・リーの演技が好きです。
先ほどの論文では菊仙にも注目していました。
菊仙は小楼と蝶衣から、最終的に周縁に追いやられるのですが、それでいて2人から、もしくは社会から押しつけられるものがあるんです。
責任の行き着く場所が菊仙だったと思います。
そこが、私が彼女を好きな理由の一つです。
私もまた、母なる包容力を彼女に求め、押しつけているのかもしれません。
覇王別姫のおかげでホモソーシャルを知り、ホモソーシャルを直接扱ったわけでないにしろ、卒論で取り上げ、あまつさえ大学院まで行って修論を書きました。
この映画が無ければあのタイミングでホモソーシャルを知ることはなく、修士に進もうとしなかった可能性があります。
あらゆるもの・ことで、2度目は基本的に心が動かない私がこんなに好きになることがあるなんて思わなかったし、これくらい好きになれる映画を求めてずっと映画を観続けています。
見つからないであろうことも察しています、でも諦めたくないですね。
一生、覇王別姫が好きだと思います。
2023年に鑑賞。「国宝」を観た際、なんとなく似てないか?と思い再...
2023年に鑑賞。「国宝」を観た際、なんとなく似てないか?と思い再度劇場へ。やはり近いポイントが多々あった。どちらが良いとか無く双方とも凄く良いんだが、時代に合ったロケーションで撮影してるのは断然こっちな気がする。これはやはり予算の違いか…けど最高に良い映画です。
コン・リーがすげー良い、惚れる!
「国宝」効果
この作品と比較される「国宝」のレヴューで映画の存在を知りました。うまい具合にリバイバル上映していただき、やっと観る事ができました。
見終わった後しばらく席から立つ事のできない程の衝撃でした。こんな激しい恋が、あるだろうか!?激動の時代に翻弄されながら京劇が繰り広げられます。
V・シュレンドルフ「ブリキの太鼓」に似た構成でワイマール共和国から戦後ドイツ🇩🇪の歴史が分かるように本作品は西太后から共産党までの支配が西暦とテロップ付きで分かり安く説明してくれます。あぁ今、京劇を観ている兵士は国民党か・・・なんて勉強になります。それにしても昔は格差社会どこか貧富の差が激しく子供が売られたり捨てられたりしたのでしょう。ほぼシゴキに近い養成所で苦労して芸を磨いたのにお金持ちや権力者に、いいように扱われしまう。今問題になってるme too運動や芸能事務所、TV局、歌劇団の問題にも当てはまってしまい、おいおい歴史だけ動いて人間が進化していないぞ。
話かわって国民党が紫禁城から持ち出したお宝に白菜の翡翠があるのですが超絶技巧の技で丁寧に彫り出してあります。皇帝お抱えの工芸家は「お前これ作れ!」と命令されれば完璧を目指さないといけない、もしできない場合は死刑なんて・・・なんて事があったのでしょうか?女形の蝶衣がセリフを間違えると罰を受けるのとリンクします。
皇帝由来の美術や芸能は完璧ゆえに厳しいですね。山水画でも精緻に、くっきりと描いてあります。
この映画は美術のキラキラ感が時代が進むにつれ色褪せていきます。京劇がもてはやれていた時代は街が輝いてるように見えましたが、それが軽んじられる(贅沢だという批判)と街に潤いが無くなっていきます。
後半は蝶衣と小樓それぞれの仕事や生活での軋轢や堕落が、たっぷり描かれ見ていて苦しくなります。まぁ人間だからしょうがないよね。
袁先生みたいに興行に顔の効くフィクサーみたいな方ていたんだろうなぁ。しかし、どんな権力者も時代の渦に巻き込まれていく無常感も描ききっています。
京劇の師匠の「運命は決まっておる」というお言葉が始まりと終盤あたりに反復されます。
蝶衣の弟子で小四が入ってくるんですが、どちらも女形で化粧すると、どっちがどっちなのか分からなくなるんですよね、
まだ「国宝」では女形の吉沢くんと流星くんの違いは分かります。
文化大革命の吊し上げは中世で言えば異端審問に当たり今で言えばSNSの誹謗中傷ぐらいつらいシーンでした。
菊仙も家族の一員になりそうだったのに一番この人が被害被ってます。
袁先生の邸宅にある籠の中の鳥は芸能という籠に捕らわれた蝶衣と小樓の運命を象徴しているようにも思われます。
愚かで愚かで、 げぇ〜が出てきそう😱
美しい映画はいつまでも輝く
本当に観て良かった。マイベストムービーに入る大傑作だ!と、堂々と言えます。
きっかけは「国宝」のレビューで多くの方々がこの作品と比較して論じられていたからである。これは、何としても観なければと思っていたらキネ旬シアターで上映してくれると言うので勇んで行ってきた。3時間の長さは一切感じることなくスクリーンに釘付けとなった。
一言で表現するとしたら、正に予告編の「壮大なスケールと映像美で描く一大叙情詩」がぴったりはまる。中国伝統の「京劇」の世界で過酷な修行期から北京のスターに駆け上がる様を激動の歴史を背景に描きながら、程蝶衣、段小樓、菊仙3人の切ない愛憎劇が儚くも美しく紡がれる。
奇しくも今年は戦後80年。日本の戦時下も大変な時代であったが、この映画で描かれた時代の中国は抗日戦争、日本支配、国民党の台頭、共産党の支配、文化大革命と、戦争や内乱が繰り返された。とりわけ映画の終盤、文化大革命の際、北京の青少年によって組織された紅衛兵により「京劇」もターゲットになり程蝶衣も段小樓も衆人の中で激しい恫喝に晒され虚実と本音が入り混ざった懺悔をさせられる様はあまりにも悲しかった。菊仙の運命も辛すぎる。文化大革命では各地で文化財破壊や大量の殺戮が行われその犠牲者の数は数百万人とも言われている。
ラストシーンで程蝶衣、段小樓は幼い小豆子と小石頭の頃に一瞬気持ちが戻ったことであろう。そして、あまりにも美しいレスリー・チャンはもうこの世にいない。だが、美しい映画はいつまでも輝いてくれる、。
後半どんどん惹き込まれ感動
圧倒的な美しさ、残酷な運命。
兎に角、京劇の場面が美しい。
張國榮(レスリー・チャン)の美しさを、映画館で観られることが嬉しくて、チケット予約したのに、映画序盤の幼少期が余りに辛く、無意識で避けたのか上演時間に遅刻。でも幼少期の姿を観て、やっぱり可愛らしいなと思い、少年期の美しい姿と演技に見惚れ、成長した姿にこれを見たかったと感動。
菊仙を演じる鞏俐(コン・リー)の登場、中国の歴史、戦争、文化大革命、残酷過ぎる運命、観ているのが辛い。
幼少期の修行も辛いが、時代に翻弄され、人に裏切られ、もう一度美しい京劇を観たいのに、悲しくて映画が終わっても席を立ち上がれない。
映画を観るのに覚悟が必要な気がする。
だから、公開当時、映画館で鑑賞した後、何度も観たいと思えなかったのだと納得したが、やはり観たいと思ってしまう映画、強烈に記憶に残る映画。
今は亡き、張國榮(レスリー・チャン)を偲び、圧倒的な美しさに感動しました。
人間の気持ちを表現する天才ですね。
圧巻
「国宝」に軍配
私にはそれほどの作品でもなかった。
日本公開時話題になっていたが、観たいとも思わなかった。京劇そのものに興味を起こさなかったせいもあるかもしれない。
4K版上映と聞き、世評も高い作品だし良い機会だと思って鑑賞してみた。傑作と呼ばれる作品だろうかと観ていてずぅっと疑問だった。
清朝末期頃から文化大革命・四人組まで、中国激動の時代を背景に2人の京劇役者の人生を辿る話だった。文化大革命で自己批判を強制される場面が、面白かった。京劇そのものが私にはつまらず、その音楽もリズムばかり強調され楽しめない。女形も坂東玉三郎ぐらいの美貌であればなぁと感じた。
が、文化大革命そのものを描いた映画が作られるのは、中国共産党一党独裁が続いている限りは無理だろう。私の生きているうちは、無理だろうな。
オールタイムベストの一本となる傑作
圧巻
愛憎溢れる人間ドラマ
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