「突出した真紅」さらば、わが愛 覇王別姫 ニャンちゅうさんの映画レビュー(感想・評価)
突出した真紅
クリックして本文を読む
『さらば、わが愛 覇王別姫』を4Kリマスター版で鑑賞しました。
菊仙が端正な顔立ちで、立ち居振る舞いも堂々としていて自分で稼いだお金で遊郭を足抜けする精神力と「責任とってね」と段の前で演じて結婚にこじつける強かさ、作中ずっと芯のある女を貫いていて善い。
蝶衣の、自分の感情に正直すぎて譲れず駆引きに向かない未熟さが観てて胸がヒリヒリして目頭を熱くさせられた。観ながら胸がつまる。そんな蝶衣を嫌わず献身的に接する菊仙がやっぱり懐の広い女性で、それに比べて段は、一番裏切っちゃいけない場面で保身に走って愛してくれた相手を裏切ってしまう男でその点が浅ましく愚かでありつつも人間味があって嫌いになりきれない。
蝶衣にとって人生の目的=京劇であって、段にとっては京劇は食い扶持の手段でしかなくて、だから段には別の選択肢(劇中以外の人生)もあったけど蝶衣にはそれがない、だから段(覇王)が必要で段を失うのは別姫である自分を失うことで、蝶衣には菊仙と段を取り合う選択肢しか存在しなかった。
コメントする
