「これはものすごい映画だ。」カポーティ 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
これはものすごい映画だ。
『ティファニーで朝食を』などの人気作家、トルーマン・カポーティが、実際に起きた一家惨殺事件をもとに、代表作『冷血』を完成させる過程を描いた伝記映画。物語の中心は、カポーティの心の彷徨だと思う。
実際の事件への取材をもとに『冷血』を書き上げた手法について、自らノンフィクション・ノベルと名付けたカポーティが、この作品以後、長編は未完のままで、死ぬまで書き上げることは無かった。
上品な知識人の皮の下にある、エゴイズムを持ったカポーティ。功名心と好奇心から、殺人事件の取材を始めたが、死刑囚と心を通わせることで、賢明さと人間性という、心が大きく揺れ動く。
カポーティの複雑な心理を見事に表した、フィリップ・シーモア・ホフマンの完璧な演技に尽きる。静かなトーンの中にも、魂を揺さぶる力強さと、並々ならぬ洞察力を持った、ものすごい映画だと思う。
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ジジさんのコメント
2024年12月12日
瀬戸口仁さん!
フォローと共感いただきありがとうございます!ご挨拶が遅くなりすみません!
【上品な知識人の皮の下にあるエゴイズム】まさにその通りですね!
ホフマンがまさにカメレオンのごとく完全コピーしていて、鳥肌ものでした!もうこの世にいないのだと思う度にとても寂しくなります。