サボタージュ(1936)のレビュー・感想・評価
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知る人ぞ知るヒッチコック作品だが、見たら生涯忘れられなくなる。
第二次大戦前に製作された、知る人ぞ知るヒッチコック作品。ドイツではヒトラーが徐々に力を振るい始め、日本ではちょうど226事件が勃発。こうやって社会に不安感ときな臭さが立ち込めていく状況はイギリスも同じだったようだ。
本作は秘密組織のためにテロ行為を画策する中年男と、その様子を怪しむ妻、そして以前よりこの男をマークし続けてきた当局捜査員が三つ巴となって運命をスパークさせる。冒頭の大停電からして最小限のカット割りでスケールの大きな混乱状況を描いてみせる。この頃からヒッチコックの才能は湯水のように溢れ出ていたことがはっきりとわかる。
その後、映画館を舞台にした特殊なドラマ性も面白いが、なんといってもフィルム缶に隠された爆発物をめぐるロンドンテロの描き方が出色だ。ここもまた最小限のカット割りで、タイムリミットまでのサスペンス性が鰻登り。ここまでハラハラドキドキさせられるとは思ってもみなかった。
歴史資料として興味深い
サスペンスのためのサスペンス
【”破壊工作により起こってしまった悲劇。”今作は、サスペンス作品の逸品であるが、哀しき作品。目的達成のために手段を選ばないテロリストの末路も悲劇である。】
■映画館を経営する若妻(シルヴィア・シドニー)とその若き弟スティービーと暮らす破壊工作員・ヴァーロック(オスカー・ホモルカ)。
善良な市民を装いつつ任務の遂行に神経を尖らせる彼に、次第に臨家の八百屋の店員に化けたテッド・スペンサー刑事の監視の目が向けられる。
身動きが取れなくなった彼は、やむなく時限爆弾の包みを妻の弟に託す。
真実を知らない少年に、爆発の瞬間が迫る。
◆感想<Caution!内容に触れています。)
・”鳥は、一時45分に鳴く”と言う、破壊活動の仲間達の合言葉を知らずに、運び屋をさせられる少年スティービーが、スペンサーと姉とドキドキしながら、楽しそうに高級料理店で食事をする嬉しそうな姿と、爆発のシーンの対比が哀しい作品である。
ー 資料を読むと、ヒッチコック監督もこの構成には、少し反省したらしい。-
・弟を殺された姉で、破壊工作員・ヴァーロックの妻が、夫の依頼により野菜煮込みを作るシーンもハラハラドキドキである。
<ラストは、善性在るテッド・スペンサー刑事により、逃がされたヴァーロックの妻の哀しくも複雑な表情。
ヒッチコック監督作品は、今まで観た作品は全てハイレベルの作品であり面白く鑑賞しているが(彼の監督で駄作ってあるのだろうか?。)今作は、その中でも哀しき余韻が心に残ってしまう作品である。>
後半がいい
1936年の映画なので、さすがに映像は覚悟して観ました。私はPCで再生し明るめにして拝見しました。
子供が映画のフィルムを届けようと出かけた際に、途中で歯磨き粉や髪のオイル?を売っている商売人がいた。「何やってるのかな」興味持って人混みから一番前に行ったら「こっちおいで」「僕は結構だよ」--- でもモデル扱いされる。口は歯磨き粉だらけ、フサフサな髪はペシャンコ。「可愛いわね」と皆さん笑って和んでる。
--- 嫌だって言ってるのにね。目立ちたがり屋さんは選ばれると嬉しいだろうが・・・。
そこしか印象に残らず、後半になってしまった。
しかし、道草をしてしまったことが致命的になるとは何とも可哀そうだ。それが子供なのである。いや、大人でも向かう途中に興味あることがあったら立ち止まって見てしまうだろう。
古い映画で76分となれば、そりゃ良くも悪くもシンプル。
とっさにナイフで殺す場面なんかは効果音もないけど、顔のアップを中心とした静かな映像だけで一気に引き込まれる力があった。
が、仲間が捕まるのに抵抗して「爆弾があるぞ!」と言う場面はシンプル過ぎて嘘かと思っちゃった(苦笑)
想像すると、その後「実は私が...」と正直に話す気がする。
いや、そう思わせて終わるのもヒッチコックの才能かもしれない。
全体的には、前半に見所がなかったのが残念。
同時期の彼の作品と比べても一段劣るのは否めない
サスペンスの王道
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