劇場公開日 2006年3月4日

「たまってるのなら羊を・・・って昔の小噺だなぁ」ブロークバック・マウンテン kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0たまってるのなら羊を・・・って昔の小噺だなぁ

2020年7月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 牧場主アギーレを演じたランディ・クエイドは言わずと知れたデニス・クエイドの兄である。その弟デニスは『エデンより彼方へ』(2002)でジュリアン・ムーアと結婚して幸せな家庭を築いているにも拘わらず男と浮気していたのです。この映画を観た兄は「よからぬことをしおって・・・」と怒り震えたに違いない!ヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールの仲睦まじき戯れにショックを受けるシーンでは、弟デニス・クエイドの男とのラブシーンが重なって見えたことでしょう。もちろんミシェル・ウィリアムズの演技は、『エデンより彼方へ』での夫の浮気を知ったジュリアン・ムーアの演技と重なって見えました。

 ゲイの映画という理由で様々なバッシングを受けたりしている映画ですが、2人とも根っからのゲイというわけではなく、たまたま好きになったのが男だっただけのような気がしてなりません。「1回限りだぞ!」という特殊環境の中での出来事から始まり、20年間で数えるくらいしか会えなかった2人。タバコ、ウィスキー、殴り合い、表面的には普通の男としか見えないし、密会だって隠れてこそこそと・・・誰に迷惑をかけるでもなく、普通に生活をしている2人。お互い妻子ある身でもあったし、異性との浮気ならば2人の関係にヒビが入ることもない。純粋な男同士の友情に肉体関係がプラスされただけのこと・・・

 この映画の優れているのはゲイだけがテーマではなかったことでしょう。過去に目撃したゲイの拷問による死によって差別による人間の残虐性。貧しくてもたくましく生きていこうとする人間をも描き、金儲けだけが全てではないことも訴えている。また、夫婦の絆が弱いためか、親子の絆が終始クローズアップされていました。さらに注意深く見ると、2人の関係をどこまで知っていて、知っているのに許容するのか、全く知らないのか、台詞と表情から愛情の深さを計り知るのも面白いと思います(ちなみに、よくわかっていません)。

 俳優の演技は皆素晴らしかったのですが、特にミシェル・ウィリアムズが良かったです。今後も必ず賞レースに絡んでくることでしょう。もちろん、アン・ハサウェイの大胆演技もgood!そして、最も目立っていたのは“山”でした・・・

【2006年3月映画館にて】

kossy
talismanさんのコメント
2021年12月23日

コメントありがとうございます。見ることができてよかったです。

talisman
talismanさんのコメント
2021年12月21日

kossyさん、全てが自分は遅いので頭にきます。ダークナイトでヒース・レジャーは知ってましたがこんなに繊細で素敵な映画。自分にがっかりします。関心がないと頭にも目にも入ってこない。でも出会えてよかったです。なんでそんなに早く死んだの、と辛いです。

talisman
NOBUさんのコメント
2021年12月16日

今晩は
 今作を映画館で鑑賞されたのですか!
 午前十時・・で上映してくれないかなあ・・、と思ってしまった作品でした。
 では。雪、ご注意くださいね。

NOBU
こころさんのコメント
2021年5月10日

kozzyさん
コメントへの返信有難うございます。
ヒース・レジャー、妻役のミシェル・ウィリアムズと婚約し娘さんも生まれていながら婚約破棄、28歳でお亡くなりとは。。
ジョニー・デップと親友だったとの記載も。
お二人の競演も観てみたかった。早過ぎる死が惜しまれますね。。

こころ
こころさんのコメント
2021年5月9日

kozzyさん
厳しくも美しい自然と、抗えない想いの激しさと深さ、見応えがありました。ヒース・レジャーさん、既に亡くなられているんですね。。

こころ