「「無」からはじまるからこその面白さ。」ボーン・アイデンティティー すっかんさんの映画レビュー(感想・評価)
「無」からはじまるからこその面白さ。
クリックして本文を読む
○作品全体
海の上で、ウエットスーツ一着の状態で始まるボーン。船上で服を手に入れ、役割をこなし、自分自身の今までを探し始める。まったくのゼロから始まるシチュエーションが単純に次のシーンへの好奇心がくすぐられる。ボーンとは少し距離を置いたカメラポジションも絶妙で、常時フラットな状態でボーンを監視しているような感覚がまた心地良く、テンポの良さを感じた。
過去を探しているボーンが、未来の象徴である子供を殺すことができなかったために現状があると思い知らされるのもありきたりではあるがシンプルでわかりやすい。
この作品からこれを受け取った、というものは見出しづらくはあるのだけど、無駄のないシナリオと映す必要があるものを映し続ける映像作品の面白さに気付かされる作品ではあった。
アクションシーンは比較的派手さはないが、フルショット時のブレ演出の塩梅が良い。俳優のポーズを見せるんじゃなくてアクションの流れで魅せる、といったところか。
○カメラワークとか
・そこに「いない」というカメラの振り方が多い。序盤の船内で治療をしようとしたらボーンがいない…というところから始まり、スイスでの逃走劇、スナイパーとの戦闘…ボーン自身がいないことにされる人間だからこそのアビリティ、みたいに使われていて面白い。
コメントする